【文スト】包帯と朋友の忘れ形見【壱】

【それは無鉄砲な犯行】 ページ10

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閃光が、満ちた。




閉じていた瞼を開いて地面を蹴る。




走り出す体制を低くして、閃光に目がくらんだ男の背後に回った。

腰のホルスターから、ワイヤー銃を取り出して標準を合わせる。
引き金を引くと寸分違わずワイヤーが男に絡みつく。


両腕をワイヤーで固定した事を視界の片隅で確認しながらも、
男のふらついた足に足をかけて転ばせた。





『…………、』





無力化した男を見て、深く息を吐いた。

……良かった。殺さなくてすんだ、と。




「人を打つ覚悟がないのなら、
最初っからこんなモノ持つんじゃない、莫迦者が！！！」




ふと入口よりもさらに奥で、国木田がもう一人の犯行人に馬乗りになって、その手には黒光りする拳銃を持っていた。

その隣では太宰も違う男を拘束している。



そして、


響いたその声は、悲痛な叫び声に聞こえた。



拳銃は、彼にとっては。
身を守るもので在りながら。

多くを奪ってきた憎き仇でもある……。





ただ単に。

安易に扱う者が許せないのだろう。





「ほらっ、A」





太宰の軽い声音と一緒に投げられた手錠をキャッチする。
もしかしなくとも、これを架けろということなのだろうけども。



私は、私を憎悪の目で見る男を見下ろして。









______無情にも、それで男の手首を括ったのだ。







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事の発端は、ヨコハマのある通りで起きた銀行強盗……、否。
銀行強盗未遂が発端だ。



拳銃を持った銀行強盗犯は無策にも、闘争に失敗した。



そして、強盗たちは【立てこもり】に走ったらしい。





まぁ、それを巻き込まれる形で解決したのが。
……、私たちというわけだ。





「いやー。
飛んだ災難だったねぇ。
仕事帰りに真逆強盗事件似合うなんて……、



………もしかしなくとも、A何か観た？」




『………別に』





本当は、女性の【悲鳴の色】が見えたから。
太宰たちをこの道を歩くように誘導したのだけれど。


それを教える意味は、ない。






「はー。まったくもう。
市警に任せばいものも…、仕事増えたじゃないか」



『ごめん』





「ふふ、嘘々。
じゃぁ___________帰ろうか」




手を繋ぐと、
世界に色が灯った。
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【それは無鉄砲な犯行】

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