【帽子と円卓の騎士.壱】 ページ9
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「“___Bonjour___”」
男の声が響いた。
黒髪、褐色肌、細身だが筋肉質の身体。
シャツを着崩し、ワークキャップを被って、人の悪い笑みを浮かべる。
そして何よりも、俺に喧嘩を売るような長身の男。
想えば、これが俺と【トロイ】の円卓の騎士との初めての出会いだ。
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「“Bonjour”」
「あァ?」
異国語に疎い俺でもわかる。
仏國で使われる語。
ある晴れた日のことだった。
そいつが俺に接触した時、Aは日用品を買いに店の中にいた。
俺はそれを外出待ち、ベンチで一服していたのだ。
「誰だテメェ…………」
そいつは一言、異国語で挨拶した後俺の隣に座った。
数あるベンチ、しかも空いたものが多くある中、隣を座るという事は不自然でしかない。
「チッ、チッ。
之だから日の本は社交性がないと云われる。
人の名を尋ねるのなら、己からというものだろう?」
明らかに異国人の容姿を持つ男は、流暢に日本語を話す。
彼の物言いに苛立つが、己の名は裏では既に知られたもの。
隠すものでもない。
「…………ポートマフィア、中原中也だ」
応えると、男はニヤリと笑った。
「俺は【トロイ・メライ】、円卓の騎士が一柱。
銘(めい)はイヴアール。
ウチのAが世話になってるなァ、
___________________________________チュウヤ」
……コイツが、【トロイ・メライ】の上層部。
Aと同じ円卓の騎士だと?
コイツの目は、他人を見下し小馬鹿にする様な、何処ぞの鯖と似ていて無性にムカつく。
Aの同類には、とても見えなかった。
「そんな警戒すんな。
今日はAに用があってはるばる来たんだからよ。
………ま、お前がここにいるって事は、アイツはまだ中なンだろうが」
「………で?
米国からはるばるAに何の用があるんだ?」
「おいおい、仮にも諜報機関員にその質問は無粋だろ!?
俺らは秘密主義なんだよ」
カラカラと笑う男。
俺は軽く舌打ちをする。
「イヴアールってのも偽名なんだろ?」
「せーかい。
よく分かってんじゃねえか」
クイッとキャップを上げる男は嘲るように笑った。
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【帽子と円卓の騎士.壱】
※オリキャラさんです。
一応偽名だけど、真名が推測できなくもない……。
黒髪短髪、褐色のキャップのイメージで
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朱鷺(プロフ) - 慊さん» 毎度コメントありがとうございます。頑張ります! (2016年9月9日 21時) (レス) id: 27d4bf92b8 (このIDを非表示/違反報告)
慊(プロフ) - 大成功でしたね!これからも更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2016年9月7日 20時) (レス) id: d38973eca7 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 慊さん» この曲を聴いてる時に、この話の原点。『そうだ、原作にはないもう一つの組織勢力を作ろう』と思ったんです。しっくりしたと思われたのが、私が思ったことが伝わったようで凄く嬉しいです。有難うございます (2016年9月5日 21時) (レス) id: 4dc04444c1 (このIDを非表示/違反報告)
慊(プロフ) - 曲からこの話を作ったのかも知れませんけどこの話のためにあるような曲ですね!すごくしっくり来ます。 (2016年9月3日 19時) (レス) id: d38973eca7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2016年9月1日 21時