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康二は東京やし花火はないし。
友人が多いわけでもない私は、今年の誕生日を独り寂しく家で過ごすことを決めた。
仕事はバースデー休暇を取った。
朝から欲しかったものを買いに行ったり、散歩をして晩御飯はずっと行きたかったイタリアンへ。
予約をしていたバースデーケーキを崩さないように大事に抱えて帰路を辿った。
つまらないバラエティから、見たかった映画に変えた。
買ったまま呑めてなかったスパークリングワインと、小さなケーキをつつく。
映画もクライマックス目前。
予想よりも面白かったなぁ、なんて思っていたらピカっと光るディスプレイ。
【こーじ】
懐かしい名前。
少しだけ酔いの回ったぼんやりとした頭で、通話ボタンを押した。
「お、出た出た！今から家出れる？」
「え、は、うん。」
「じゃ！」
意味がわからない。
外に出たところでアイツはいないのに。
頭にたくさんのハテナを浮かべながら、エントランスに向かう。
エントランスの前には見慣れた康二の実家の車が停まっていた。
中にはマスクと帽子を着用して、俗にいうお忍びコーデの彼がいた。
「え、康二何やってるん！？」
「ええからはよ乗って！」
急かされるまま車に乗ればすぐさま発進。
焦って乗ったが助手席になんて座って良かったんだろうか。
まあ、今更思っても遅いんだけど。
「てか何やってんの！？なんでおんの？」
隣に問い掛ければ、ニヤニヤとしながら彼は口を開いた。
「寂しぃ〜ってメッセージ送ってきたのはどこのどいつや！実家帰って車借りて迎えに来てん！」
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作者名：ミヤ | 作成日時：2023年7月26日 21時
