No.10 お父さん ページ10
＊
「しょうとくん！」
土曜日の午後。
先週の同じ時間に同じ場所で出会った友達と再会する。
Aと焦凍は、また会えた喜びと嬉しさでほころんだ笑顔を見せた。二人とも友達と呼べる者が少なく、特に気の合う者はお互いだけのような関係なので、今日この日を楽しみにしていたのだ。
「はじめまして、轟さん。旦那と娘からお話を伺っております。娘が焦凍君にお世話になったみたいで……」
「いえ、こちらそこです。態々息子に会いに来て下さってありがとうございます」
今日は、先週来られなかった母も一緒に公園へ遊びに来た。焦凍の母に挨拶するためだ。
勿論、父も一緒である。
「あのね、しょうとくん。きょうはチョコレートのクッキーをもってきたんだ」
そう言って、母の持つハンドバッグから綺麗に包装されたお菓子を取り出す。中にはクッキーが五つほど入っている。
袋は二つあり、そのうちの一つを焦凍の手に渡した。
「またいっしょにたべよう？」
「うん！ ありがとう！」
「えへへ、どういたしまして。じゃあ、あそぼっか！ なにしようかな？」
「すべりだいにいこうよ！」
「うん！ いこう！」
次は焦凍はAの手を引き、黄色の滑り台まで走る。二人は楽しそうに笑っていた。
* * *
滑り台やブランコでめいいっぱい遊んだ二人とAの父は、小休止のため木の下のベンチに腰をかける。それからAが持ってきたクッキーを食べ始めた。
父は自販機で購入した缶コーヒーを飲む。
向こうのベンチでは、Aと焦凍の母が何やら話し込んでいて、Aの父は途中からAと焦凍と一緒に遊んでくれていたのだ。
遊具で遊ぶことに飽きた二人に、Aの父は、両腕で二人を持ち上げてクルクル回したり、突然二人を追いかけ回したりと、たくさん楽しませてくれた。
「どうだ、クッキーうまいか？」
「「うん！」」
「ははっ、そうかそうか！」
美味しそうにしてクッキーを頬張る焦凍とAに、頭を撫でながら大きく笑うAの父。
頭を撫でられて焦凍は目を細めた。
焦凍が三つ目のクッキーを食べ終えると、手を止めて俯いた。
それに呼応し、Aの手も止まる。
「どうしたんだい？」
「……おじさん、やさしいよね」
「しょうとくん？」
「ぼくのおとうさんも、おじさんみたいなひとだったらな……」
「……」
それを聞いて、Aの父の眉間に皺が寄った。
＊
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サブとバラ(プロフ) - １ちゃん様、うなﾁｬ様、麗紅花様。レスを長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。コメントしてくださり、本当にありがとうございます！そろそろ更新を再開する予定でございます。そのときには、また応援していただければ幸いです。 (2021年3月24日 22時) (
レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。あなたが書いた小説を読んで最高でした。何よりも可愛らしくて、微笑ましくて、同時にちょっぴり切なくて良かったと思いました!続き、楽しみに待っています。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
うなﾁｬ - 面白かったです。楽しみに待ってます() (2020年6月21日 21時) (レス) id: 6b728aedaa (このIDを非表示/違反報告)
１ちゃん - とっても面白かったです!更新よろしくお願いします! (2020年5月24日 12時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - いえいえ！！私も早まったコメントをしてしまい、申し訳ございません！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ | 作成日時：2020年4月23日 23時
