第百四十九話 ページ10
「…………」
「別に、何とも思ってないですよ
貴女はただ、自分の理想を話ただけに過ぎず、実際行動に移したのは、彼等の判断です」
「彼等…………亜久津和哉か…」
Aの言葉に九十九はある男の名を出す
「君にとっては、恩人…だったんだっけ?」
「ええ」
「……一つ聞いても?」
「いいですよ」
九十九の問にAはそう返す
「何をもって彼は恩人なのかな?」
「………」
Aは、九十九の言葉に視線を街道に移す
仕事、デート、観光、散歩…
様々な目的の人々が街を行き交う光景がAの目に映る
「………恩人という言い方は、正直少し違います」
Aは街道に視線を向けたまま言う
その視線を九十九は辿った
そこには、親子がいた
小さな女の子と手を繋ぐ優しそうに微笑む両親
絵に描いたような、幸せな家族
「……亜久津さんは、私にとっては、本の中に出てくるような…理想的な
私はあの人に、言葉も感情も、知識も貰いました」
そう言うAの視界から、親子は外れて行った
Aは一度、ゆっくりと瞬きをすると、九十九に視線を戻した
「……父親か…」
「九十九さん
確かに私は、今の呪術界のやり方に疑問が無い訳ではありません
でも、私は貴女とは、話の馬は合わないと思います」
「…何故?」
九十九はAに聞き返す
「私は、貴女のその突拍子もない考えに賛同できるほど、人間に夢を見てないので」
「………ほぉ…」
Aの言葉に九十九は興味深そうな視線をAにぶつけた
「全人類の呪力をゼロにすること、はたまた全人類に呪力のコントロールを可能にすること……それは、不可能だと思います 現実的に考えて」
「成程ねぇ……じゃあ、君はどんな考えを持っているのかな?」
「……………『呪術界上層部及び御三家の解体』です」
「…!!」
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瑠花 - コメント失礼しますやっと乙骨君と来栖華ちゃんが来ましたね。私は華ちゃんのことが好きなので嬉しいです (2021年10月18日 17時) (レス) @page47 id: 40dcd18497 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2021年5月19日 20時