【呪術廻戦】呪術師“最強”の妹〈肆〉 (ページ37)

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第百七十六話ページ37

ｰｰｰｰｰ現在

呪術総監部

襖を隔てた奥から老人の声が聞こえてくる

「まずは御苦労」

「労う気など無いのだから、くだらない前置きは結構本題に入りましょう」

何枚もの襖に囲まれた暗い空間

その中央にAは居た

その腰には『細雪』がある

「夏油傑の生存…
この情報に誤りはないな？」

「正確には、夏油傑の皮を被った別の呪術師です」

「そんな事はどうでも良いのだ
夏油傑の体で“呪霊操術”を使うならば、それは夏油傑だ
中身など誰でも構わん」

「………」

「通達は聞いているな？」

「ええ」

呪術総監部より通達

一、夏油傑生存の事実を確認
　同人に対し再度の死刑を宣告する

ニ、五条悟を渋谷事変共同正犯とし呪術界から永久追放
　かつ封印を解く行為も罪と決定する

三、夜蛾正道を五条悟と夏油傑を唆し
　渋谷事変を起こしたとして死罪を認定する

四、虎杖悠仁の死刑執行猶予を取り消し
　速やかな死刑の執行を決定する

五、虎杖悠仁の死刑執行役として
　特級術師乙骨憂太を任命する

「…随分と思い切ったことをしますね」

「“邪魔”が入らないからな」

老人達の薄気味悪い笑みがAの頭に浮かぶ

「それで…私を此処に呼んだ用件は？」

「貴様が五条悟の封印を解かないという絶対的な保証は無い」

「貴方達が封印を解くな、と命令するならそれに従いますよ」

老人達にAはそう言った

「忘れるな
貴様は一度、我々に対し報告を怠った
寄りにも寄って、宿儺の器…“虎杖悠仁が生きていた事実”をだ」

「それについては報告した通り、私の近くに五条悟が居た以上、総監部との接触は控える…
同時に虎杖悠仁の生存報告を先延ばしにしなければ、五条悟に更に邪魔をされる…
そう判断し、報告をしなかった……」

「その後の事についてもか？」

「ええ
私との口約束が不満なら、縛りでも何でも結べばいいでしょう？」

「………五条悟の封印解除を禁ずる」

「……“今まで通り”、私が貴方達(上層部)側である事を他言しない」

「成立だ」

老人がそう言った

「ええ」

「高専関係者の監視を怠るな」

「分かりました」