第百六十七話【Europe】 ページ28
グルル…
うねり声を上げて、ケルベロスはAに襲いかかる
開いた口から鋭利な歯が覗く
「……………」
ケルベロスの歯がAに迫る
ズバンッ…
チャキン…
『細雪』が納刀された音が小さく響く
ケルベロスは真っ二つになり、灰となって消え去っていく
“地獄の番犬”ケルベロスが一瞬にして祓われたのだ
「な…っ!?」
「…!!」
呪詛師の男とリズは目を見開いた
「誰が有利だって?」
「…………」
男の頬を冷や汗が伝う
男はAの実力を見誤っていたのではないかと思い始めた
「術式に頼る事しか知らない奴に、私は負けない」
Aはそう言うと、『細雪』を鞘から抜いた
「…!!」
ゾッとする程美しい漆黒の刃を持つ特級呪具『細雪』
暴れ馬たるそれを悠々と使いこなすAに男は背筋が凍る
『細雪』に呪力を纏わせる
そして、刀を振る
呪力の斬撃が床を抉りながら男へと襲いかかる
「クソッ…!!」
斬撃を男は避けようとするが、1つ避けると別の斬撃が襲いかかる
そして、遂に
ドガッ
斬撃が男にダメージを与えた
男は壁まで吹き飛び、壁に激突した
「これが……日本の、1級呪術師の実力…!」
リズが呆然とそう言った
「フゥ…」
一息ついて、Aは『細雪』を鞘に納めた
「……………」
「矢張り、俺の予想通りだったな」
何処からともなく現れたカーティスが言った
「………」
「あら 魔除けは大丈夫なの?」
「…魔除け? 何の事だ?」
リズの言葉にカーティスは口元に笑みを浮かべた
「え? でも貴方……」
「魔除けなど効かん」
「騙したわね…!」
「騙される方が悪い」
カーティスは悪戯に笑ってそう言った
それを見たリズは溜息をついたあと、仕方なさそうに笑った
「……呪霊と人間の共存、か……」
Aはそう呟いた
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瑠花 - コメント失礼しますやっと乙骨君と来栖華ちゃんが来ましたね。私は華ちゃんのことが好きなので嬉しいです (2021年10月18日 17時) (レス) @page47 id: 40dcd18497 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2021年5月19日 20時