【呪術廻戦】呪術師“最強”の妹〈肆〉 (ページ24)

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第百六十三話【Europe】ページ24

『さて…』

客が出て行くなり、扉の横でうつ伏せになっていた黒い犬が動き出し、Aの横のカウンターチェアに飛び乗った

「……喋った…？」

Aは困惑の表情を浮かべて、隣に来た犬を見た

『喋って何が悪い』

「………」

「そいつは、ヘルハウンド
名前くらいは、聞いたことがあるんじゃないか？」

カーティスが笑みを浮かべてAに言った

「聞いた事はある……でも…真逆、呪霊だとは…」

燃えるような赤い目

黒い大きな体躯

「そいつの事は、アーディと呼んでやれ」

「アーディ……
そう言えば、貴方達のその名前は、リズさんが付けたの？」

「否……俺達に名前を与えたのは、カリーナだ」

Aの問いにカーティスがそう答えた

「その人は一体……」

「それを話す為に、お前を此処に連れてきたんだ五条A」

「…？何故私にｰｰｰｰｰ」

ｰｰｰｰｰ！！

Aの喉元にカーティスの鋭利な黒い爪があった

人間と同じ様だった手の皮膚は赤黒くなり、白目は黒く変わり、血のような赤い瞳が不気味に光っていた

「……………」

人ならざるもの

それを認識するには十分過ぎる変化

Aの頬に冷や汗が伝う

今迄出会って来たどんな呪術師よりも、呪詛師よりも、呪霊よりも、悍ましい

「お前に俺達の事を、日本の呪術師に話されては困る
何故だか分かるか？」

「……………」

Aは息を呑んだ

そして、口を開いた

「……日本の呪術界上層部にとって、吸血鬼(貴方)の存在は、どんな手を使ってでも消し去りたい存在…
連中はその気になれば、全呪術師を此処に集結させることもできる
そして、吸血鬼(貴方)の存在を知るものを呪術師だろうが非術師だろうが、例外なく殺すことも、躊躇なくやる…」

「………そうだ」

カーティスはAの言葉にそう言うと、Aの喉元から爪を離した

途端に赤黒かった肌と黒くなった白目は人間と同様のものへと戻っていった

「俺だけならば構わない
だが、俺の存在を知るものを全てを葬ろうなど、愚昧な手段は絶対に許さん」