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第五十四話【過去編】 ページ10

「……じゃあ、これは?」

Aは別のページを開いて、指差した

『花蘇芳』

「……それは確か………ハナズオウ、じゃなかったかな」

「ハナズオウ…同じなんだ…」

夏油の言葉にAはそう呟いた

「………大丈夫か?」

「え?」

「その…呪霊の呪力…」

「ああ…大丈夫、です」

「そうか」

「夏油さん…は、悪くない、ので…」

本を閉じ、Aはそう言った

「………傑でいいよ」

「え?」

「名前 悟もそう呼んでいるしね」

「………傑、さん…」

「何だい?」

「あ、その……ありがとう、ございました」

「いいよ
それより、A 君は呪術師になるのかい?」

夏油はAにそう聞いた

「………なれるのかな?」

「呪術は非術師を守る為にある
“弱者生存”があるべき社会の形なんだ
A、君の力もいつかその役に立つときがくるよ」

「……頑張る」









その短くも長い1ヶ月も経つのはあっという間だった

Aにとっては、人生で初めて家以外の人間と話をした時間

大切な思い出

それを打ち壊す出来事が一年後に起こった









高専3年、夏油傑によるとある集落の人間の皆殺し

「派手にやったな」

とある集落で返り血を浴びた夏油に一人の男が声を掛けた

「…!?」

夏油は驚きを顕にし、声の主を見た

「よぉ 1年ぶりくらいか?」

「アンタは……確かAの…」

「亜久津だ
それよりお前、こんな事するタイプじゃねぇだろ」

亜久津は夏油にそう言った

「貴方に話すような事ではないですよ」

夏油は亜久津にそう返す

本来であれば、亜久津は此処に居る筈の無い人間

夏油は警戒していた

「警戒すんなよ
俺もお前と似たようなもんだしな」

「……は?」

亜久津は夏油にそう言うと、煙草を取り出し火をつけた

「俺も、非術師は嫌いだ 存在価値がねぇよ」

「な…!?」

「非術師っていう見ず知らずの他人を助ける為に俺達術師が命掛けなきゃなんねぇんだよ」

煙を吐き出し、亜久津は言った

「御三家の従者がそんな思想…」

「お前も見ればそう思う」

「見る…?」

「悟坊は見たまんま、持て囃されて育ったよ でも、Aは違う」

「………」

「彼奴に術式が無いと分かった年寄り共は、彼奴を家の地下に閉じ込めた」

「!?」

亜久津の言葉に夏油は目を見開いた

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2020年12月28日 16時

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