第八十六話 ページ42
「奴の術式が分かった」
伏黒は悠仁を引いて粟坂と距離を取った
「A先輩」
伏黒はAに『細雪』を渡した
「ありがと」
「奴の術式は、“あべこべ”ですよね？」
伏黒はAにそう聞いた
「正解」
「いや分かってたんなら教えてよ」
Aの返答に悠仁はそう言った
「大声で言える様な事じゃ無いでしょ」
「……じゃあ、デコピンでブッ倒せる？」
悠仁はAにツッコむのを止めてそう言った
「弱すぎは駄目だ」
「“あべこべ”にできる上限と下限がある
恐らく、攻撃によって調整している その上、術式効果とかは“あべこべ”と呪力を使って自分を守ってるんじゃないかな」
「だから規格外の五条先生には勝てないし、複雑な術式とは相性が悪い
恐らく、A先輩の結界術も、どこまでやれるか得体が知れないから近付かなかった」
伏黒とAは悠仁にそう言った
「となると、
「ああ だが、術式に気付いた事を悟られたくない」
「なら、馬力をアピールしな
私は、さっきの執事がいつ起きても大丈夫なように縛っとくから」
Aは2人にそう言うと、近くで伸びている神楽坂の元に向かった
伏黒は『脱兎』を解いた
「いねぇ！！ 逃げたのか！？」
そう言った粟坂の頭上に黒い影
ｰｰｰｰｰ『満象』
伏黒の式神の一つ『満象』が粟坂の上に落ちた
「はっはっは！！ なんじゃあ、こりゃ」
しかし、“あべこべ”の術式を持つ粟坂にこの技は効かない
伏黒は『満象』も解く
「出したり消したり忙しない 男ならハッキリしろい！！」
「そういうのは、俺の担当じゃない」
粟坂の言葉に伏黒はある方向を指差してそう言った
ｺﾞｯｺﾞｺﾞｺﾞﾝ
粟坂の目に映ったのは悠仁により投げられた車だった
粟坂はそれを受け止め、車を投げ捨てる
「(車って……悠仁のあのパワーはどうなってるんだ…？)」
「(コイツら…俺の術式を知らないのか…？ あの小娘の右眼……あれは六眼ではないのか…なら好都合)」
小刀を取り出した粟坂に2人は突っ込んでいく
「ｺﾞﾌｯ」
2人のどちらの攻撃も当たっていないのにも関わらず、粟坂はダメージをくらった
粟坂が攻撃の来た方向を見ると、そこには伏黒の式神のガマがいた
その隙を逃さず、2人はそれなりに弱い力で一気に畳み掛けた
「(今までの馬力は……フェイクか…！！)」
粟坂は繰り出される攻撃を一度断ち切る
「この程度で、調子に乗るなよガキ共！！」
そこへ1人時間差により威力を殺された悠仁の拳が入る
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作者名：朱鷺の砂 | 作成日時：2020年12月28日 16時
