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第八十ニ話 ページ38

「楽しくなってきた…ですか?」

男はAにそう聞いた

「うん」

Aはそう言うと、肩の横を伸ばすストレッチをした

「触れたモノの性質を倍加もしくは半減させる術式……
これだけ聞けば強いけど……アンタ弱いね」

「術式の無い貴女には言われたくありませんね」

「あ、そう
じゃあ……私に攻撃をーーーーー」

ガキンッ

「!?」

銃弾はAには当たらず、音を立てて弾かれた

「ーーーーー当ててごらん」

「(………刀を抜いていない……噂に聞く無限下呪術とも違う……一体、何を…?)」

男は目の前で起こった現象に困惑した

「もう来ないの?」

Aはジャケットのポケットに手を入れ、煽る様に口元に笑みを浮かべて男に言った

「……まだまだです」

ガキンッ ガキンッ ガキンッ ガキンッ

銃の発泡音より遥かに速い銃弾はAに届く前に全て弾かれる

例の如く、Aは刀を抜いた素振りを見せていない

「(これだけの速度であれば、いくら高速の抜刀術を持っていても対処はできない筈……一体、これは……)」

「因みに、今ので何倍の強さなの?」

「今のは先程と同じ25倍ですが……御安心を
ここからは………最大の50倍で行かせてもらいます」

「律儀だね
(50倍ってことは、秒速17キロ……って事は、マッハ50…ヤバ…)」

Aはそう言った

バキンッ バキンッ バキンッ

「(銃弾壊れてるんだけど……)」

またしても、男の銃弾はAに届かない

「(必ず防がれる……一体何をして…)」

「まだ弱い もっと本気で来なきゃ」

Aは男に向かってそう言った

「……分かりました では…」

ピンッ コロコロコロ

男は何処からか十数個の手榴弾を取り出し、Aの周囲にバラ撒いた

「(手榴弾…マズったなぁ)」

Aは周囲を見た

「仕方無いか……」

そして、そう呟く





ドガアァン






「残念ですが……これでは骨も残りませんね
あまり、大人をナメるものではありませんよ」

男はそう言うと、背を向け歩き出した

「ーーーーーそっちこそ、自分が爆破した跡くらい確認しないと駄目だよ」

「!?」

聞こえる筈が無いと思っていたAの声に男は勢いよく後ろを振り返った

そこには無傷のAと、損傷の少ない建物があった

「馬鹿な!? 爆発は確かに起こった筈ーーーーー!!!」

男は目を見開き、驚きと動揺を顕にした

「起こったよ 爆発は、ね」

Aは笑みを浮かべてそう言った

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2020年12月28日 16時

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