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第八十一話 ページ37

「嘱託式の“帳”なんて…ありえるんですか?」

術師を入れない帳の前で、伏黒が猪野にそう聞いた

「Aが言うんなら間違いないだろ 問題は、そいつが何処に居るかだな」

猪野はそう言った

「呼ぶ? A先輩」

「またあの大声でか?」

悠仁の言葉に伏黒はそう返した

「じゃあどうすんだよ」

「……………そう言えば…」

「「?」」

「前にA先輩に結界術について聞いた事がある」

伏黒は二人にそう言った

「へぇ〜」

「どんなことだ?」

猪野は伏黒にそう聞いた

「確か………」





 

ーーーーー4月

「結界術について? なんでまた」

Aは伏黒の質問にそう聞いた

因みに場所は校庭の芝生

「知識として、持っておくべきだと」

「……じゃあ…帳はーーーーー」

「ーーーーー帳については知ってます と言うか、アンタに教えてもらいました」

「そう言えばそうね…」

伏黒の言葉にAは微笑を浮かべてそう言った

「でも、A先輩の張る『帳』は、補助監督の人が張る“帳”とは違うんですよね?」

「………正確には、違うのも張れる、かな」

Aはそう言った

「可愛い後輩の為だ 入学祝いに私の(・・)結界術についても教えてあげる 私の任務についておいで」



Aと伏黒が来たのは夜の学校

「じゃあ…まぁ今日は少し特別な『帳』を…」

Aはそう言うと

ーーーーー闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え

言霊を唱え、『帳』を下ろす

「………下ろしたんですよね? 『帳』」

伏黒の目には街以外何も映っていない

「内側からは見えない『帳』 呪詛師を相手する時とか結構便利
因みに結界っていうのは、自分自身が結界の外に出ることによる発見や撃退のリスクを抱える事で、結界強度や効果を底上げする事ができる 目立つ所にいると特にね……まあ、術式の『縛り』みたいなもん」

Aはそう言うと、校庭にいる呪霊を見た

「1級呪霊…ですよね?」

「恵、祓ってみる?」

身構える伏黒にAはそう言った

「いや…アンタの任務でしょ」

「大丈夫 恵でも余裕で倒せるから」

Aはそう言うと、前髪をかき上げた

ーーーーー呪創結界『曼珠沙華』







「自分自身が結界の外に出ることによる発見や撃退のリスクを抱える事で、強度や効果を底上げする事ができ、目立つ所にいればいるほど、強度や効果が増す……らしいです」

伏黒はAとの会話を思い出し、猪野にそう言った

「なんだそれ…結界術の基礎ガン無視じゃねーか!!」

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2020年12月28日 16時

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