第六十三話 ページ19
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バシャッ
「人殺し!!」
頭を下げたAに思い切り花瓶の水をかけられた
生けられていた花も落ちる
「(掃除が大変だな…)」
「ちょっと…あなた!! 何してるの!?」
水をかけた男に女はそう言った
この2人は仲のいい夫婦だと近くでは有名だった
「あの子は……私達の一人息子だぞ!」
「…ですが…現場に行った時は既に、中にいた人達はもうーーーーー」
バシッ
ドサッ
「ッ…!!」
Aは頬を殴られた
唇からは血が流れた
「それが本当かどうか…私達には確かめる術が無い…!
息子を見捨てた可能性だって大いにある…!!」
男はそう言った
コツ
Aの指先に写真立てが当たった
殴られた時のゴタゴタで落ちたのだろう
「……!」
ただの家族写真
写真の中の3人は幸せそうに笑っていた
「言い返せないのが何よりの証拠だろう……2度と来るな」
男はそう言うと、家の奥へと行ってしまった
「……………遺体の状況から見て、息子さんは友人を庇ったのではないかと思います」
Aは立ち上がり、女にそう言った
「………そう…」
「………息子さんを助ける事が出来ず、申し訳ありませんでした」
そして、そう言って再び頭を下げた
髪から水が滴り落ち、服もびしょ濡れだった
「………こちらこそ、ごめんなさい
息子が死んだのは……貴女のせいではないものね 今、タオルを持ってくるわ」
「タオルは大丈夫です……失礼しました」
Aはそう言うと玄関の扉を開け、外に出た
「Aさん 大丈夫でした…え!?」
車でAを待っていた伊地知は、びしょ濡れのAを見てそう言った
そこには、偶々通り掛かった七海も居た
「ああ…伊地知さん…と七海さん?」
「偶々通り掛かりましてね」
「兎に角、車へ それから、何か拭くものを…」
「いいよ 伊地知さんの車汚したくないし」
「気にしませんよ!
と言うか、好きなだけ汚してください!」
Aの言葉に伊地知はそう言った
「なにそれ…変なの」
「兎に角、そのジャケットを脱いだらどうですか? 風邪引きますよ」
七海がAにそう言った
「……大丈夫ですよ」
「貴女は馬鹿じゃないので風邪は引きます」
「それは…褒められてるんですか?」
「褒めも貶しもしてませんよ
それより早く脱いで下さい 貴女が風邪引いて五条さんに何か言われるのは御免なので」
有無を言わせず表情と声色で七海は言った
「はい…」
Aはそれに負け、ジャケットを脱いだ
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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2020年12月28日 16時