【名探偵コナン】烏とダイヤモンド〈4〉

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予定通り、劇が始まった

ボックス席で、張は劇を見る

今回の劇の脚本家、ライアン・モーリスは、実在する未解決事件を作品に登場させることで有名だ

勿論、劇中ではある程度の脚色は添えられている

彼の作品は素晴らしいと脚光を浴びている

世界的な賞をいくつも受賞している

劇に登場する未解決事件のどれもが、”彼自身が起こした殺人“であるなどと、露知らずに世界中の人々が称賛の声をあげる

“異常なまでの承認欲求と高いプライドの塊“

ライアンは、自分が殺した人間を作品として公衆の面前に展示するだけでなく、自分が起こした事件が未解決であることを言い様に作品にして承認欲求を満たす狂人だ

小鳥遊のプロファイリングに間違いはない

そして、ライアンは今夜、人を殺す

かつてライアンは、今夜の劇と同じ劇の最中に気に入らない役者を殺した

釣り上げた大道具を役者に落としたのだ

その事件は、リハーサル中の不幸な事故として処理された

そして今回、劇中で国王は主人公に敗れて、ギロチンの刑に処される

台本では、音と暗転と演技によってそれを演出する事になっているが、ライアンは天井に吊り下げた大道具をタイミング良く落とすつもりだ

場所は計算されており、大道具の重さも加味すれば、間違いなく役者は死ぬ

ヤバい奴ってのは居る所には居るんだなと張は呑気に思った



劇は終盤に差し掛かり、例のシーンがもうすぐやってくる

「ヒントはくれてやったんだ
お前達は、どう出る？ FBI」

張は笑みを浮かべて、劇場内を警備するFBIを見た




“貴様ら…一体誰のお陰でこの国が隣国に攻められないで居たと思っている！？
誰のお陰で私腹を肥やす事が出来たと思っている！？”

断頭台の上で尚、国王は叫ぶ

”家畜も同然の貴様等が、国の統治など出来やしない
平和？ 平等？ そんなものは存在しない！
私を殺して、精々後悔するがいい！！“





暗転

ギロチンの刃が落ちる音

明かりが付くと、ステージ上で劇は続行された

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