月と星は陽だまりを求める【HUNTER×HUNTER】【ジョジョの奇妙な冒険】 (ページ19)

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第10話　ツキ×ハ×ヒカリ×ナクシテ【ククルーマウンテン編】ページ19

キルアの話を聞いてから、また時が過ぎた。

私はあいも変わらずこの部屋に閉じ込められている。

まるで天岩戸にいる気分…

まあ、別に皆が来てくれるから嫌ではないけど….退屈。

"コンコン"

『はい、どうぞ。』

「失礼いたしまする。」

『ッ！貴方は…』

扉から入ってきた人物を見てAは目を見開いた。

「ホホホ、A様、お初にお目にかかります。
ゾルディック一族先々代当主、マハ・ゾルディックでございます。」

『ご丁寧な挨拶に感謝致します。
改めて自己紹介させて頂きます、私はA・サンスノーフレークと申します。』

体に染み付いた英国淑女としての洗練された仕草に。

「ホホホ、やはり貴女様は太陽の一族の方でしたが。
成る程、御先祖様にそっくりでいらっしゃる。」

『え？あの、マハ、様は、サンスノーフレークの人間にお会いした事が？』

「いえ、私が知っているのはかつてこの屋敷にあった肖像画での姿のみです。
しかし其れも今はありませぬが。
いやはや、長生きはするものですな。」

マハはAをまるで眩しいモノを見るかの様に愛で、微笑んだ。

『ところで、マハ様は「マハで構いませぬぞ、A様は我等一族が永年待ち続けた光ですからな。」

マハの言葉にやはりAの中では疑問が。

「では、マハ、どうか教えて下さい。
何故、其処までして貴方方は私を守ろうとするのですか？」

ゾルディック一族は身内…即ち、血族しか信じていない。

その証拠にアルカ編でのイルミの思考。

"俺が死んで残りの家族がセーフなら其れで良いさ"

傍観者としてあの言葉を聞いた時は正直なんとも思わなかったけど…今はイルに死んで欲しくないとも願っている。

「うむ、貴女様の疑問は尤もですな。」

納得、納得と呟いた後、マハは再び語り始めた。

「太陽は月と星を想いお隠れになられた。
しかし、其れは彼等も同じ、故に月星として生を受けた者は太陽である貴女様を決して裏切りませぬ。
まあ、かつての月星はその性…いえ、愛するが故に過ちを犯してしまいましたが。」

『そうですか…』

「まあ、簡単に言ってしまえば、月は光無くして輝く事は叶わないのですじゃ。
ですから、どうか孫達の事を許して下され。」

『マハさん…私は元よりゾルディック家を憎んではいません。
彼等は既に私にとって掛け替えのないモノ。
でも、もし誰かが数多の命を踏みにじったなら、私はどんな事をしてでも償います。
どうか、私の言葉を心に留めておいて下さい。』

「…分かりました。では、失礼いたします。」

そう言って、マハは部屋から退出した。