第6話 陰の守護者【ククルーマウンテン編】 ページ15
「え！なんで！オレは姉さんが好きだよ。」
「ハハ、キルにはこの言葉の意味を知るには少し早いかもな。
だが、いずれお前にも分かる時が来るさ。」
キルアのその感情は純粋なものだ。
Aの事を純粋に姉として慕っている。
だけど…俺が抱く感情は…どうなんだろうか？
「…詳しく説明して。」
イルミの言葉にゼノが語り出した。
☆
女神が隠れた直後、二神は其々の肉体と魂を人間として分散させた。
其れは女神を探す為でもあったが、同時に彼女が愛した人間の事を知る為でもあった。
だが、やはり其処でも性質が分かれたのだ。
分かりやすく言うのであれば。
善と悪
光と闇
静と動と言った様な感じ。
そして、時代ごとに闇の月星が先に、光の月星が生まれる様になった。
しかも、その人物たちは時代の中の極悪な犯罪者や偉大な功績を残した偉人ばかり。
だが、その歴史において女神の末裔に寄り添って生きたのは極僅かの者だけだった。
1代前の者が現れたのは今から二百年ほど前。
守護者は闇がゾルディック。光がクルタ族の者だった。
その時、ゾルディックの者があろう事か、過去に月神が起こした過ちを犯してしまったのだ。
故に、過ちを繰り返さない為にゾルディック家ではある掟が設けられた。
"其の一…女神が現れたのなら決して、彼女の意思には逆らわず裏切る事は許されない"
"其の二…決して、女神を穢してはならない"
"其の三…決して、女神の末裔を傷つけてはならない"
"其の四…私利私欲の為に女神の力を利用してはならない。"
"其の五…ゾルディックの当主は月神の形を受継ぎし者は先祖の再来、故に女神の不在時は決して裏切るな"
と言った掟がひかれた。
「で？其れが俺たちに何の関係があるの？」
「分からないか…イルミ、お前はもう彼女に近づくな。だが、陰で守るんだ。良いな、イルミ。」
「…….……………うん、分かったよ父さん。」
無表情であっさりと答えるイルミにシルバは一瞬、眉を潜めたが、その一方でキルアは。
「親父！オレは！オレも姉さんに会っちゃダメなの？」
ウルウルとした目で父の服を引っ張るキルアに対し、シルバは。
「キル、その逆だ。
お前は出来る限り彼女の側で守れ。大切なんだろう？彼女の事が。」
「うん！オレ、姉さんが大好き。」
「そうか。」
二人のやり取りを前にイルミは只々立っていた。
その一方で、ゼノはそんなイルミを不憫に思った。
第7話 生命と精神【ククルーマウンテン編】→←第5話 一族の使命【ククルーマウンテン編】
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作者名：空夜☆時音 | 作成日時：2019年10月5日 21時
