第5話 一族の使命【ククルーマウンテン編】 ページ14
その時、彼らの頭の中で声が響き渡った。
“ありがとう、私の死に泣いてくれて。
肉体は滅びましたが、私の魂と心はいつも見守っています。だから、私の死を嘆かないでください。”
月と星は太陽の言葉を聞いて、涙をこぼした。
自分たちのせいで死なせてしまったのに、太陽は全く恨んでいなかったのだから。
それどころか自分たちを守ってくれるとそう告げた。
二神は自分達を彼女が愛した人間に転生させた。
人間として生きて、いつの日か太陽の下に行ける様に、そして、今度こそ、愛する光を守るという願いを込めて
☆
後日、俺とキルは父さんに呼び出された。
「父さん、入るよ。」
扉を開くとその奥にはゼノ爺さんと父さんの姿があった。
「二人ともよく来たな。」
「で、一体何の様?父さん達が仕事以外で俺とキルを呼び出すなんて珍しい。」
「うむ、実はな。
お前達に儂等の一族が代々受け継いで来た使命をお主達に伝えようと思うてな。」
その言葉にイルミは眉を潜めた。
「使命?殺し屋家業がそうじゃないの?」
キルアの純粋な問いに、シルバは口を開いた。
「其れは表向きの事だ、俺たちの本来の使命は太陽の女神の末裔を守る事だ。」
「「ッ!/え!」」
父親の突然の告白に当たりの空気が震えた。
「お前達は何故ゾルディックの当主が容姿で選ばれるか疑問に思った事はないか?」
「そりゃあ、少しは思った事はあるけど、特に気にする事じゃなかったし。」
嘘だ、本当は知りたいと頭の隅でずっと。
「先日、お前達が金の瞳とオレンジ髪の娘と出会ったと執事達から聞いてな。」
まあ、屋敷にはミルキが仕込んだ監視カメラが沢山ある。
見られていても不思議じゃない。
気に入らないな。
「うん、A姉さんはとっても物知りで優しいんだよ!アルカも姉さんの事が大好きなんだ!」
キルアは俺と違って彼女に触れられる。
恐らく、理由は其処にある。
「フ、そうか。イルミも彼女と面識があると聞いてな。」
「まあね、最初に彼女を見つけたのは俺だから。」
そう、彼女が居たから俺は辛うじて人間でいられた。
闇の中で生きて来た俺に手を差し出した、俺だけの…
「イルミ、キルア、誓え、彼の女神を決して裏切るな。決して彼女を…愛してはならない。」
父さんの言葉は俺の頭を殴り飛ばす様な衝撃を促した。
第6話 陰の守護者【ククルーマウンテン編】→←第4話三神の神話【ククルーマウンテン編】
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作者名:空夜☆時音 | 作成日時:2019年10月5日 21時