月と星は陽だまりを求める【HUNTER×HUNTER】【ジョジョの奇妙な冒険】 (ページ12)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:3,181 hit

第3話　小さなお月様と暖かい太陽【ククルーマウンテン編】ページ12

あれから、数年、私はイルミと頻繁に言葉を交わす様になった。

『イル、ご機嫌よう。』

「…暇なの？」

『んー、まぁ、当たらずも遠からずってところね。』

何せ、私の姿が見えるのは今のところイルミだけだから。

「そっ、まぁ、俺は仕事中じゃなければ、別に構わないけど。」

彼もその事を知ってか、当初に比べて随分と打ち解けてくれてる気がする。

その証拠に、最近では家族の事をチラホラと話してくれる様になった。

彼はあまり多くは語らなかったけど…家族の事を大切に思っているという事は十分伝わった。

彼には四人の弟さん達がいる。

5歳下のミルキ

12歳下のキルア

13歳下のアルカ

14歳下のカルト…あ、シリトリになってる！

まあ、其れはおいといて…特に二人目の弟、キルアの事をとても気にかけて…というより、拘っている。

『ふふ、イルは本当に弟さんの事が大好きなのね。』

「まあね。」

『ねぇ、イル。
もし良かったら私に弟さんを紹介してくれないかしら？』

「俺が"嫌だ"って言っても、貴女はどうせ聞かないんだろう？」

イルミも流石に長くAに付き合っているだけあって、彼女の性格を把握している。

「良いよ、多分、今ならキルとアルカには会えると思うから、付いて来て。」

☆

「あ、イル兄だ！帰ってきてたんだね。」

「うん、ついさっきね。キル、アルカただいま。」

走って来たのは、白銀の髪を靡かせたキルア。

そして…

「お兄ちゃん、待ってよ～あ、イルミお兄ちゃんだ！」

そのキルアをアヒルの子の様に追いかけるアルカの姿があった。

『(まあ、可愛らしい。まるで小さなお月様ね。)』

イルミの背後で微笑みを浮かべているA。

「お姉ちゃん、だーれ？何で宙にういてるの？！」

そんなAの手にキルアが触れた。

『「え？」』

二人はとても驚いた。

何せ、キルアは実体を持たない筈のAの手を掴んだのだから。

「お姉さん、暖かいね。なんだかお日様といるみたいだ。」

『…ありがとう。』

そんな事を言われたのはいつ振りだろうか…

この世界に来てからはひたすらに彷徨っていたから、イル以外と言葉を交わせるのは、初めて。

「エヘヘ、俺キルア＝ゾルディックって言うんだ！こっちは妹のアルカ。」

『あら、妹さんなのね。其れにキルアは自ら名乗るなんて偉いわね。』

こんな小さい子がキチンと挨拶してくれたのだ。

なら、此方も英国淑女として…

『私はA、A＝サンスノーフレークよ。』

無邪気なキルアの笑顔を見たAの微笑みをイルミは黙って見ているしかなかった。