☆11ページ☆ 帰省の桜 【桜の森の満開の下編】 ページ13
そして、季節は巡り、再び春が訪れ、鶯の声が響く。
其れが目覚めの合図。
そして、私は再び歌を歌う。
『春が来た 春が来た 何処にきた?
山にきた 里にきた 野にもきた
花が咲く花が咲く 何処に咲く?
山に咲く里に咲く 野にも咲く』
Aはフワリと地面に腰を下ろす。
すると、目の前には…
「やあ、菫の君…いや、今は桜下と呼んだ方がいいかな?」
『あ…お久しぶりですね。龍之介さん。』
其処には以前、走れメロスの時にご一緒した芥川大てんてーが。
「織田くんから話を聞いてまさかと思ったけど…実際見ると…うん、まるで天女みたいに綺麗だ。」
『ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです。
前回はろくにご挨拶出来ずに去ってしまって…あ、太宰治さんは大丈夫でしたか?』
「うん、でも彼、君にお礼を言いたかったって言ってたよ。」
『そうですか、また会えると良いのですが…処で、今日はお一人なんですか?』
「実は…」
芥川は自分達がこの物語に来るまでの経緯を語り出した。
あれはAが本に潜る少し前
☆
芥川と太宰は異変のあったのを察し、急いで潜書室に。
其処には、絶筆寸前の織田作之助の姿が。
二人は直ぐに彼を補修室に運び込んだ。
その時、意識が朦朧としている中、必死に語る。
「実はな…本の物語が少し…変わってたんや。」
その変化とはまず。
本来物語の山賊には七人の妻がいる筈が、一人も居なく、一人で山奥に住んでいた事。
そして、自分の事を炳五と名乗っていて…しかも、その名を八人目に呼ばせようとしなかった。
更に彼はオダサクが桜下の桜の木の側で眠っている所を見つけるとこう言ったのだ。
"俺の桜に触れるな!
その木に寄り添えるのは山の主である俺だけだ!"
そう言いながら、彼はオダサクを斬りつけたそうだ。
まるで、嫉妬に狂った鬼の様。
「これは桜下という桜を見る必要がありそうだね。」
☆
『そうだったの…私が….彼を狂わせてしまったのね。』
「君のせいじゃないさ、君は坂口くんの物語に登場した山に帰りたいと感じさせた。帰省の桜だ。」
芥川の言葉を聞いて、私はあの小説の一節を思い出した。
あの時、彼はある一本の桜の下で目を覚ましました。彼は飛び起きましたが、それは逃げだす為ではありません。
なぜなら、たった一本の桜の木でしたから。
彼は鈴鹿の山の桜の森のことを突然思いだしていたのです。
あの山の桜の森も花盛りにちがいありません。
彼は懐かしさに吾を忘れたのです。
「だから、物語完成の為に力を貸して欲しいな。」
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なのは(プロフ) - 更新楽しみです! (2020年7月3日 3時) (レス) id: 122a982782 (このIDを非表示/違反報告)
空夜☆時音(プロフ) - 夢さん» ありがとうございます!pixivとこの作品は重なる様に書いて居ますので好みによって違うかも知れません。これからもよろしくお願いします! (2020年5月25日 15時) (レス) id: b7a01024a7 (このIDを非表示/違反報告)
夢 - pixivでも見てます!更新頑張ってください!(私も小説頑張ります) (2020年5月25日 14時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
夢 - がんばれがんばれ(語彙力) (2020年5月25日 10時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
べっこうあめ - 初コメ失礼します! めっちゃ面白いです!作ってくれてありがとうございますm(_ _)m (2020年5月21日 8時) (レス) id: 036a34d0ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空夜☆時音 | 作成日時:2020年4月18日 3時