誰ソ彼乙女は、かの人の孫 【地縛少年花子くん】

第三十七の怪　言えない本音【16時の書庫編】 ページ42

土籠side

依代を壊した瞬間、Aは眠る様に倒れた。

「眠ったか…」

俺は保健室に運ぶと、Aは頭を撫で、彼女の手を自分の頬へ。

「A…(早く、声を聞かせてくれ)」

俺はそのままAの掌にそっと口づけをする。

「ふーん、成る程、お前Aに片想いしてるのか？」

「な、テメェ、一体いつから！」

其処には宙に浮いて胡座をかいている桔梗の姿が。

「あらあら、Aを襲おうと考えていた時に邪魔しちゃったかな？」

「な、べ、別に…そんなんじゃ。」

「だよなぁ〜
昔から女子にモテるのに全く相手にしなかった土籠だからなぁ。」

ﾋﾟｷﾋﾟｷ

「(我慢だ…我慢)」

「そんなお前にやっと訪れた春の相手がAとはなぁ〜土籠、随分とお目が高い！」


コイツ、昔から鬱陶しい所はあったが、会わない間にグレードアップしてやがる本当に何なんだ…


「まあ、父さんとしては生徒と先生、しかも相手が俺より遥かに年上と来た…うーん、複雑だなぁ…」

「チッ、別に俺が誰を好いていようが、お前には関係ないだろ。」

「ま、どうせお前の事だから、自分は怪異でAは人間だから…とか考えてるんだろ？」

「ッ！(コイツ！何で分かるんだ)」

「んで、土籠、もし、もしアンタが普通の男だったらAをどうしてた？」

「…俺はAに告白してただろうな。」

「それで？」

「其れでアイツの事をめーいっぱい甘やかして、俺以外目に入らないくらいにして…(俺の愛を注いで)」

「…」

「そして、アイツが大学を卒業したら結婚を申し込んで…細やかだか、家庭を築きたい。
だが、所詮は絵空事だ。」

その言葉に桔梗は溜息をついた。

「あのなぁ、恋に堕ちちまったら…誰であろうと関係ないだろ。例えそれが人間と怪異であろうとな。」

桔梗は娘の頭を優しく撫でると俺の方を見た。

「土籠、俺はな正直、Aを幸せにしてくれる相手なら、相手がとんでもないクズじゃない限り良いと思ってる。その点、あんたの事はよく知ってるし、正直任せてもいいと思ってる。」

「桔梗…お前、其れはつまり俺がAを手を出すのを許すって事か？」

「さあ、其れはお前に任せる。
但し、Aを無理やり抱こうなんて考えるなよ
そん時は全力でお前を打ちのめすからな。」

その言葉を聞いた途端、全体が軽くなった気がした。

「まあ俺も奥さんとは学校で教師と生徒として出会って結婚したし。
そのお陰で可愛い可愛いAが生まれた訳だから幸せだったなぁ…」ﾃﾞﾚﾃﾞﾚ

ポワポワと惚気始めたコイツに俺は拳を入れたくなった。

第三十八の怪　代償と奇跡【16時の書庫編】→←第三十六の怪　これ以上に大切なもの【16時の書庫編】

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