誰ソ彼乙女は、かの人の孫 【地縛少年花子くん】

第七の怪　お参りとお狐様 ページ10

皆さん、お爺ちゃんを探して早、6年のAです。

今日は私の日課の一つであるお参りに来ています。

可愛い狛狐がお出迎えしてくれて。

とても馴染み深い場所なの。


"パンパン"


『(早く、おじいちゃんの事が…あわよくば、会えます様に)』


祈りながらお辞儀をすると…。


「毎日毎日、よく飽きないわね、A。」

『あ、ヤコちゃん、おはよう。』


足元にいる稲荷像の付喪神。

そして、学園七不思議が二番ミサキ階段だ。


「おはよう、まあ、此処に来てくれるのは嬉しいけどね…ミサキはもう来てくれないけど…」

『ヤコちゃん…ごめんね。ミサキさんじゃなくて。』

「別に、今はアンタが来てくれてるから、寂しくはないわ。」


素直じゃないヤコにAは笑みを浮かべながら、ヤコを抱き上げた。


『ハァーヤコちゃんが居るだけで癒されるわ。』

「な、フン！当然よ、ワタシは可愛いもの。
其れにこんな事でアンタを元気付けられるなら、これくらいの事、お安いごようよ！」」


そう言って、大人しく撫でられるヤコにAはとても感謝していた。


『あ、そうだ、今日は五目お稲荷さんを作ってきたの！良かったら後で食べてくれる？』

「！！ふ、フン、そんなに食べて欲しいなら食べてあげても良いわ(やったぁ！この子の作るお稲荷さんって美味しいのよね。)」


なんだかんだ言って、ヤコもAの事は好きだった。

幼い頃からの付き合いだし、Aの家庭事情も知っている。

だから、ヤコにとってAは妹の様な存在なのだ。


「A、今は名前も知らないお爺さんの事で頭が一杯だろうけど、アンタだって花盛りな歳頃なんだから青春を謳歌しなさいよ。」

『ありがとう、でも、今は考えられないかな…』

「そ、そう、アイツもある意味哀れね。」


ヤコは同僚の気持ちを薄々感じているので、ある意味で同情した。


『ん？アイツって？』

「別に…何でもないわ。
ほら、さっさと学校に行きなさい。遅刻するわよ。」

『はーい！じゃあ、またね、ヤコちゃん。』


スタスタと去っていくのを見送ると、ヤコはAの置いていった稲荷寿司を取り出し。


「本当に、男って馬鹿な生き物ね。」


口に入れた稲荷寿司を頬張りながら、ヤコは昔の記憶を呼び起こした。

"ねぇ、〇〇！其れなに？"

"あら、ヤコ様、こんにちは"

"小さくて壊れそうな生き物ね"

"ふふ、この子はですね、私の、いえ、私達の宝物ですよ"

生まれたばかりの赤子を抱くその姿は、ヤコの目からは、とても光輝いて見えた。

第八の怪　仲良き事は良き事かな→←感謝感激！

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