[文スト]中島敦には、可愛い双子の妹が居ます:2[中島敦]

39:この人の笑顔ってなんか嫌です ページ2

「やあ敦君、Aちゃん、仕事中？おつかれさま」

「ま......また入水自 殺ですか？」

お兄さんがそう聞くと太宰さんは笑った。

「うふふ、一人で自 殺なんてもう古いよ敦君」

「え？」

「前回美人さんの件で実感したよ。矢っ張り死ぬなら心中に限る！独りこの世を去る淋しさの何と虚しいことだろう！」

お兄さんは太宰さんに冷たい目を向けている。

太宰さんは此方を見て言葉を続けた。

「というわけで一緒に心中してくれる美女募集」

『じゃあ今日のこれは何ですか？』

「これは単に川を流れてただけ」

そんなドヤ顔で云われても困るんですけど

お兄さんは疑問に思いながらも納得することにしたようだった。

そして太宰さんは網から降ろされた。

「......という訳なのです」

お兄さんが説明すると太宰さんは声を上げた。

「何と、かくの如き佳麗なるご婦人が若き命を散らすとは......！」

その後に文句をいい続ける太宰さん。

衣服等がしっかり乾いていない為、動くごとに水滴が飛び散る。

『太宰さん、せめて衣服を乾かして下さい。飛びますから』

私は近くの警官にタオルをお願いする。

その間に、ある程度の水をハンカチで取る。

その時、太宰さんがニヤニヤしていたのはきっと見間違いではないと思う。

衣服を乾かした後、お兄さん達の方を見ると、結構話が進んでいた。

「君、名前は？」

乱歩さんは一人の警官を指差した。

「じ、自分は杉本巡査です。殺された山際女史の後輩＿＿であります」

乱歩さんは杉本さんの肩にﾎﾟﾝｯと手を置いた。

そして指差して云った。

「よし杉本君、今から君が名探偵だ！60秒でこの事件を解決しなさい！」

「へぇッ？！」

お兄さんがその様子を見て呟いた。

「普段の僕、きっとこんな感じなんだろうなぁ......」

「そ......そうだ山際先輩は政治家の汚職疑惑、それにマフィアの活動を追っていました！」

マフィア......

「そういえば！マフィアの手口に似た殺し方があった筈です！もしかすると先輩は捜査で対立したマフィアに殺され＿＿」

それを遮るように太宰さんが云った。

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