[文スト]包帯娘と虎の少年[中島敦] 完結

望んだもの ページ3

壁に追い詰められたが、まだ死ぬ気は無い。

気付いたときには、私は叫んでいた。

『こ...来ないで...！』

叫んで助かるとは思ってない。

でも、叫ばずにはいられなかった。

次の瞬間、生暖かいものが顔に付いた。

私は、変だ。と、思い、目の前を見る。

目の前には、施設の人達が死んでいるのが見えた。

『ﾋｯ...！』

私は理解した。この生暖かいものは...血だ。

理解した時と同時に、私は悲鳴をあげた。

『嫌ぁぁぁぁぁぁぁ！！』

私は何もしてない。なのに、なんで？

暫くの間、私は何も考えられなかった。

少し落ち着いてくると、私は先の未来が予想できた。

多分、警察が来る。その時に私がいれば、確実に犯人扱いだ。

それだけは嫌だ...！

私はふらつきながら立ち上がる。

壁に沿って歩いていく。すると、明かりが見えた。

外だ。赤い明かりが点滅しているのが見える。

警察だ。早く逃げないと。

私は、森の中を走った。

とにかく離れなきゃ。

もう...ここにはいられないから。

そうして私は、初めて外に出た。

外は私が思っているものとは違うかも知れない。

だって、私は幸せを望んだだけ。

人が死んだところなんて見たくなかった！

私は、そんなことを思いながらとにかく走った。

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ラッキー文豪

芥川龍之介

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