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それから、昼休みになったら屋上に行って、先輩とふたりでご飯を食べるのが恒例になって。
特に約束をしている訳じゃないけど、毎日のこの時間が密かに楽しみだったりする。
そしてあっという間に5月になり、まだ梅雨は遠いけど、本日の天気はなんと大雨。
授業を受けながらたまに窓の外を見てみては、止みそうもない雨にどうしても気分が落ち込んでしまう。
じっとりした空気が教室の中に籠っていて、先生から配られるプリントもなんか湿ってる気するし。
今日は屋上無理そうやなぁ。
逆に入学してからこの日まで、お昼はずっと屋上で食べれていたのが奇跡みたいや。
……なんて、四時間目が終わった今、いつもの癖で屋上に続く階段を上りながら思うけど。
こんなどしゃ降りの中外でご飯を食べれるわけがないのに、とっくに教室を出てきてしまった。
意味不明な自分の行動に呆れつつも、外へ続くドアまではあと一階。
末澤先輩も、今日は大人しく教室とかで食べてるんやろなぁ。
知り合った日から毎日ずっと顔を合わせてきた連続記録は途絶えてしまうことになるけど、まぁしゃあない。
インコースを攻めながら階段を上って、そして上りきった先には、
「おー、A」
勝手に今日は会えへんと思ってた先輩の姿があった。
『え、先輩？』
なんでおるん、って頭に浮かんだ単純な疑問は、「やっぱ来ると思った」なんて笑った彼の声に掻き消された。
『……やっぱ来るって思われたん、なんか嫌ですね』
「んはは、やってAは教室に居場所ないしな？」
『居場所ないは盛りすぎですって！』
毎日コミュニケーションを取っていたら、私の仲良しの友達が作れへん話とか、まぁ割と全部話しちゃってる訳で、先輩は平気でこういうイジり方をしてくる。良くない、ほんまに。
『別に話せる子はいっぱいおるし』
「言うて特別仲良くはないやろ？」
『……まぁ、そうですけど』
「ほら〜」
そしたら「一緒に飯食べる相手、俺しかおらんねやもんな？」なんて子犬みたいなくりくりの目が細められて、可哀想なAちゃん、的な視線がすんごい居心地悪い。
『ていうことは先輩も友達おらんってことやないですか！』
「ちゃうわ！ちゃんとおるけど、そいつは昼飯は一人派なだけや！」
絶対おらんやつやんそれ、と疑ってたら、それが顔に出ていたのか先輩はいよいよキレ始めて、「ほんなら今度会わせたる！！」と宣言し出した。
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作者名：ぽて子 | 作成日時：2023年6月11日 22時
