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気にしたら負け。大丈夫、忘れよう。
お箸を握りながらそう言い聞かせて、なんとか平静を保とうとしていたら、ちらりとこっちを見た食べてる最中の先輩と目が合う。
「……めっちゃこっち見るやん」
『や、なんでもないです』
「ふ〜ん？」
うん、気にせんとこ。気にしたらあかん！
「まぁ間接キスした仲やしな、俺ら」
『っか、！！』
心の中で一人決意した瞬間に思っきしそのワードを出されて変な声が出た。そしたら先輩はまた吹き出す。
『ちょっと、変な言い方せんといてください！』
「ええやん！事実やし！」
『事実ちゃう、っくはないけど！』
「うはは！てか昨日気付かんかったん？」
『やって昨日は怖い先輩やと思ってたから！そんなん気にしてる心の余裕なんてなかったんです！』
「やから怖ないて！！」
なんかツッコミが入ってるのが聞こえへんくらい、恥ずかしさやら怒りやらで、ぶわーっと全身の体温が上がってる気がする。
絶対真っ赤になってるやろう私の顔に気付いた先輩はにやにやしててほんまにうざい。
「ウブやな〜」
『うるさいですほんまに』
「んはは、かわい」
そんな嘘くさい言葉も無視してお弁当を食べようとしたら、髪を結んで露になっていた右耳を不意に触られて肩が跳ねた。
ぎょっとして彼の方を見たら、さっきのにやにやとは少し違う笑みを浮かべていて、
『……なんですか、急に』
「んー？なんとなく」
『なんとなくで人の耳触る人います？』
「A、耳熱いな」
『……先輩の手は冷たいですね』
若干成り立ってない会話の最中も、なんだか心臓がざわついていた。
……ほんで、やっぱこの人怖いわ、って改めて思った。
『えっ、先輩ピアス開いてる！！』
「あ、ばれた」
お返しに先輩の耳を掴み返そうとして、見つけてしまった小さな穴。
『やっぱヤンキーやん』
「お前は決めつけがすごいねん！」
笑いながら「でもかっこいいですね」って付け加えたら、「やろ？」と満足そうな笑みを浮かべて見せてくる。
『痛ないんですか？』
「うん、慣れやな」
『へぇ〜、まぁ校則違反やけど』
「おい！」
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作者名：ぽて子 | 作成日時：2023年6月11日 22時
