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ピ、と音がして、手渡されたカルピスは想像以上に冷たい。
『ありがとう』
「ん。乾杯しようや」
『ふふ、うん、しよか』
小島が差し出すペットボトルに自分のをぶつけて、一口飲むと甘酸っぱい爽やかな味がした。
久しぶりに飲んだ気がするその味が相変わらず美味しくて、目を細めながら小島の方を見たら、
『……うはは！めっちゃ飲むやん！』
乾杯って普通一口二口ぐらいやと思うんやけど、ごくごく飲んで2分の1ほど一気に減らしていた。
私が笑ったら、ボケたんか本気なんか、彼も「喉渇いててん」と笑う。
『まさかほんまに奢ってくれるとは思ってへんかったわ』
「俺借りはちゃんと返すタイプやからな！」
『他の友達には借りっぱなしちゃう？』
「……ほんまや」
しばらく小島と駄弁りながら教室に戻ったとき、昼休みから開始から15分くらい経っていた。
みんなが自由にお弁当を食べて、喋って笑っている声を聞いて、ふと浮かんだ違和感。
……あれ？違う、お弁当食べんのここじゃない！
そこで、はっと末澤先輩のことを思い出した。
『ごめん、私行かなあかん！』
「え？どこによ？」
『ん〜、……まぁまぁ、ええから！』
「ちょ、それ俺のセリフ！」
『んはは！あ、ジュースありがとうな！』
約束しているわけではない。絶対行かないといけないわけでもない。
でも、遅れてでも行かな私の気が済まへんかった。
先輩と一緒に、屋上でお昼ご飯を食べな。
小島と別れて、お弁当を引っ付かんでから屋上に走る。一段飛ばしで階段を駆け上がって、たどり着いたドアノブを捻れば、
『先輩！』
いつもの場所に、先輩がいる。
彼は勢いよく登場した私にちょっとびっくりしてから、
「お〜、A。遅かったなぁ？」
「今日はもう来うへんかと思った」って、その目が柔らかく細められた。
「来うへん訳ないですよ」と私も笑いながら、いつものようにその隣に腰を下ろして、お弁当を広げる。
『ごめんなさい、遅れて』
「や、全然ええで？俺もごめんな、先食べ始めてたわ」
『いやいや、謝ることないですよ！待たんとガンガン食べちゃってください！』
「ガンガン食べるってなんやねん」
先輩はそう言ってけらけら笑ったから、それを横目に私も笑いつつご飯を食べる。
でもまぁ、と不意に彼が呟いて、その声に隣を振り向いた。
「久しぶりに一人で食ったから、なんか変な感じやったわ」
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作者名：ぽて子 | 作成日時：2023年6月11日 22時
