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「あー！すみません！勢いよく投げちゃったんですけど、怪我ないですか！？」
その瞬間全身に突き刺さる三つの視線。気まずい思いをしながらも周りの三人の顔を見回す。勝手に家に入られた不快感や不信感、ピザが飛んできて怪我をしそうになった怒りが浮かんでいるものと思っていたが、三人の顔には一様に驚きが浮かんでいた。
その後、比較的早く正気に戻った中性的な声の人が戸惑いを隠せない様子で全員平気だということを言った。その言葉に心の中で安堵のため息を大きく吐きながら表面上は笑顔を貼り付けまま困ったように笑う。
「本当にすみません！ちょっと緊張しちゃって……」
あはは、と俺の乾いた笑いが静かな空間に落ちる。反応どころか物音ひとつない空間に異様な雰囲気を感じ、改めて周りを見回す。さっき扉を開けた男の人は目を見開き固まっていて、女の人は何かを考え込んでいる様子だった。そして中性的な声の人。容姿までも中性的で男か女か区別が付かないその人は、首をかしげ困ったように笑っていた。
「え？どうかしたんですか？」
「あー気にしないで気にしないで。スズくんのiOSはちょっと古いからよくフリーズするんだよ」
「……いまだにパカパカ携帯みたいな先輩に言われたくないです」
「サトー先輩もスズくんも例えが分かりにくいですよ〜」
固まっていた場の雰囲気がその一言で少し弛緩した。驚いていた状態で固まっていた男の人、スズというらしい、はその言葉で我に返ったようで失礼な、……いや失礼かどうかは判断しかねるが、その台詞に言い返していた。
和気あいあいとした空気がその場を支配する。何事もなかったように三人は宅配が来るまでやっていただろう自分の事を始めようとしていた。……部屋の真ん中らへんに場の空気についていけない俺を残して。
きりが比較的いいのでいったん切ります！
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作者名：とまとまと | 作成日時：2020年7月9日 21時
