・ ページ49
side：D
・
遂に公演日まであと3日。
人間を怖がるようになってしまった流星はそっとしておくべきだが､流石にこれ以上は待てない。
この公演は流星を休ませることも考えたが､全員がこれから後悔を背負うことになるやろう。
いろいろと考えた結果､俺と流星が話し合って解決するしかないということになり､俺ははっすんに誘われて､流星ん家にやってきた。
・
k「じゃ､朝ご飯は食べさせといたし､後はよろしくな〜」
俺が家に入ったのと同時に玄関で靴を履き始めるはっすん。
えぇ､あれから初めて流星に会うのに､2人きりなんて絶対無理や！
慌てて玄関のドアを塞ぐと､はっすんは俺の肩にぽんと手を置き､こう言った。
k「あんたなら大丈夫や」
「いやいやいや……」と思いながらぽかんとしていると､塞いでいたはずのドアはなんなく開けられ､そこから入ってきたそよ風が俺の背中を押した。
・
番組でも現場でも経験したことがない気まずさを感じ､頭を掻いていると俺の名前を呼ぶ声が聞こえ､少しだけ顔を上げる。
その声の主は朝の教育番組が流れるテレビの前にちょこんと三角座りをし､この距離からでも分かるまんまるの潤んだ瞳でこちらを見つめていた。
「流星？」
俺の名前を呼んだなんて気のせいではないのか､そう自分を疑って､小さく問いかけるように俺も名前を呼ぶ。
すると､てちてちとこちらへ歩いてくる彼に驚いて､また立ち尽くしてしまう俺に構わず､左手に持っていた紙袋の中を覗き込む。
「一応家に上がらせてもらっているわけやし､軽い手土産でも」と思い､流星が好きないちごを持ってきていた。
「食べる？」
無事に事が解決したら食べるはずやったそれは家に着いて､僅か5分で洗われてしまった。
・
r「おはな」
お皿に輪になるように並べた5つのいちごを指差す流星。
どうやら彼にはこの並べられたいちごがお花に見えたらしい。
「大ちゃん達にもお花､咲くかな」
r「さくよ」
俺は何気なく発したつもりの一言やったが､彼の目はまっすぐにキラキラと輝いていた。
r「さくよ､おっきいの」
俺よりも4歳年下の流星はずっと俺の弟のような感覚やった。
でもこの眼差しに「俺よりもずっと成長しとるな」とそう強く感じた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
toki(プロフ) - さくらさん» 諸事情がありまして ずっと投稿できず 申し訳ございませんでした(;_;) 次ページの方にて公開致しましたので もしまだ読んでくださっているのでしたら ぜひお読みくださいませ (2023年4月7日 18時) (
レス) id: 904b96111b (このIDを非表示/違反報告)
ひなちゃん - だいちゃんが、熱だして甘えん坊になるのが見たいです!このお話大好きです!よろしくお願いします!! (2022年10月7日 9時) (レス) @page50 id: a7a726468f (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - tokiさん» ありがとうございます！ 道枝くんが仕事で嫌なことが続いて病んじゃって自傷するお話が見たいです！難しいと思いますがよろしくお願いします！ (2021年8月17日 13時) (レス) id: c878c6a6b2 (このIDを非表示/違反報告)
toki(プロフ) - さくらさん» 書けますよ！ 病状やメンバーなどのご要望をくださると有り難いです(;_;) (2021年8月16日 23時) (レス) id: c3554eec3c (このIDを非表示/違反報告)
toki(プロフ) - みじゅちぇさん» 投稿もレスも遅くなって ごめんね いつもありがとう ちゅき(;_;) (2021年8月16日 23時) (レス) id: c3554eec3c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：toki | 作者ホームページ：https://lit.link/toki087
作成日時：2021年1月18日 16時
