中〜夢主ちゃん、海に行く〜4 ページ47
『…そこをなんとか…!!』
『いや、お前と絡むといつも面倒なことが起きる。
演練場の騒動以上のことが起き_いや、はっきり言って嫌な予感しかしない。
俺の直感がそう言っている。』
『……で、でも_!』
そう言われてしまうと、ぐうの音も出ない。
『たーいしょ、そんなに落ち込むな。どうしたんだ?』
『っ!?年齢詐欺師薬研藤四郎!?!?』
トンと私の肩を叩き微笑んだ彼を見てついつい本心が出てきてしまった。
『…ん、大将、最初の言葉はなんだ?
全く分からなった。もう一度わかりやすく言ってくれ。』
『ア、ハイ。スミマセン。』
にっこりと笑っていても怒っているのは丸わかりなのですかさず謝る。
だが、彼は年齢詐欺師だ。
見た目は子供なのに変に大人っぽい。いや、大人だ。
他の短刀達とは違い、可愛らしさが微塵もない。
ツンデレか?と思ったが、ツンもデレもなくて…The漢!の塊である。
『それでこっちの旦那は、……長義、だったか?
大将はいつも人を近づかせようとしないから話を聞いた時にはちょいと驚いたが、……まあ、これからも仲良くしてやってくれよ、旦那』
『……ああ。』
その会話を見てふと思った。_一番まともな会話じゃないか?と…。
そう安心していると、彼らはそのあと黙りこんでじっと互いの顔を見ている。
まともなのか……?
普通というには妙な違和感を感じ、私も2人の動きを見逃さないように観察した。
『…』
『ははっ……大分腕を上げたつもりだったんだが、まだまだだったか。』
少しして、薬研が笑ってそんなことを言うので、
やっぱり"そういう"見つめ合いだったのかと落胆してしまう。
『隙あらば挨拶程度に_っと思っていたんだがな。流石大将が認めただけはある。』
つまりこういうことだ。
あの時間の間に長義が薬研に少しでも気を許せば身体をブスリ_
なんてやつだ。
『私の前で争い事なんてしたらどうなるのか分かってるわよね?』
『…ああ。もちろん弁えてるさ。
ただ、大将のそばにいるんだからその実力を見切りたかっただけだ。
_俺が手を伸ばしてもとどなかった場所を力もない奴にいとも簡単に取られたんじゃあ、虫の居所が悪いんでね。』
こちらを覗きこんだ紫の目に一瞬どきりと脈を打ったのもつかの間で、彼はふっと笑って「人の身を持つとと困ることもあったんだな」と先程までの空気を塗り替えた。
『…。』
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作者名:沙恵燬 | 作成日時:2019年2月1日 1時