中〜夢主ちゃん、海に行く〜 ページ44
(山姥切長義、薬研藤四郎)
私の目の前に奇跡が広がっている。
青く緑にも見えるあの輝いた美しい海。聞くだけで癒される波の音。
照りつける白い太陽。
正に楽園だ！エデンだ！
感動のあまりにボロボロと涙が出てくる。
「…本当に…っあった…。もう…最高…っ！海だぁっ！」
「おい、そこに突っ立ってるのは＿…大丈夫か？」
「だ、大丈夫…！…っ…。」
私が歓喜の涙であまり泣いていると頭をポンポン撫でられる。
「…その、ここは人が通る。少し場所を変えよう。」
逞しい白い腕が私の肩を回した。
「うん…。それで…あの＿貴方は…
………どちら様ですか？」
溢れ出る涙を拭いながら私を案内する彼を見る。
…が、私の知る人の中でこんな美形で筋肉がいい感じについた逞しい体に頭の良さそうな感じの同僚は知らない。
「……は？」
私の問いに彼は足を止めた。
この雰囲気は確かにどこかで見覚えがあるのだ。
銀髪のさらさらの髪に青い目、…それで女も羨む白い肌。
「…。」
「…どっかで見たような…？」
「…っ。」
「うーん、もうちょっとでわかりそうなんだけど…
…ぐぅぇっ！？」
私がじっとその人を見ているとその人が私の頬を乱暴に挟んだ。
「ふぇ、ふにゃひ？(へ、何？)」
「昨日、ここへ来るように頼み込んだのは誰かな…？
さあ、答えろ。」
イライラしているようで端正な顔立ちを歪めて怒った。
「…っ！？…もひぃひゃひぃふぇ、ひょうひぃはゃひょ！？(…っ！？もしかして長義なの！？)」
「……答えになってないぞ。
まあいい。」
ようやく分かってもらえたことに対する深いため息を吐くと、彼は私の頬から手を離した。
「地味にいたいぃ〜…」
「…気づかない方が悪い。」
頬をさすって言っても彼は謝ることなく顔を背けた。
まあ、がみがみとしつこく"1時間以上"も誘い続けた本人が当日にお前誰ですか扱いをすれば怒るものだろうよ。
「ごめん。…あの、まさか長義くんがもう着替えているとか思わなかったし、…そのここまで顔が整っているイケメンさんだとか思ってもみなかったんだよ…。
その…いつものフードを被ってないし。」
「いけめんがなんなのか知らんが、お前はこんなに蒸し暑く人混みが多い状況下で普段通りの格好でいられると思うのかな？」
「ごもっともですね。」
彼がいつも着ていたタキシードとフードがこの天候にあうかといえば、確実にアウトだ。
直ぐに熱中症で倒れそうで見てるこっちが怖い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沙恵燬 | 作成日時：2019年2月1日 1時
