弐拾弐 ページ38
そんなこんなで(私の中での)大事件はおわり彼らは無事に送り返した。
……
あの事件の犯人は結局見つからなかった。だから、警備体制も変わるだろうとふんでいたが、予想と反した結果になった。
壁はそこまで壊れてはいないし、だいたいそれで人が怪我をしたという報告もない。
経費は少しでも削減したいという気持ちもあるのだろう。
壁は元通りになおし、監視カメラが少し増えただけで、特に改革は起きていない。
……いくらなんでもそれはないとか思ったが、本当に何もない。
だから……彼ら(目の前の刀剣男士達)はまだ私をいじりたりないのか、遊び足りないのか、ここまで来ることに変わりないのだった。
「それで＿なんで皆長義のこと嫌ってるのよ…。」
「「「…。」」」
「長義、あれはなんて言ってるのかしら？」
「…お前の言っている１０割はわからない。と言ってそうだな。」
「まさかの全部」
「口をあんぐり開けて呆然とするな。そんなに口の中を他人に見せたいか。下品だぞ。」
「顔は見えてないからいいのよ！あとね、下品って何！？下品って！
私、これでも顔は悪くない方だし、むしろ気品のあるレディとして見られてたのよ！」
「ほう…、お前が気品のある淑女、ね。面白い冗談だな。」
「冗談じゃないー！本当よ！！」
「ああ、知ってる。」
「は？」
私の反応を見て彼はくすりと笑えば、それ以上弄ろうとしなかった。
ただ真面目な顔でじっと私の顔を見る。
「……。」
「…ど、どうしたの？」
「……なんでもない。
＿今日は用があるのでこれで失礼させてもらおう。
お前達はこの女に迷惑がかからないようさっさとここを去るんだな。」
「一番、お前に指図されたくないんだけど」
「そうか、勝手にしろ。」
加州がそう呟けば、長義は身を翻し彼らを放ってどこかへ足を動かした。
「…長義？」
いつもならもう少し毒を吐く彼だと言うのに、明らかに今日は違った。
「＿他人を心配する前にまずは自分の用を気にしたらどうだ？」
「自分のこと？……あ！」
慌てて端末を見るともうそろそろ時間だ。
そうだった…。時間を見ていなかったせいですっかり頭から抜けていた。
ゆっくりしていられない。
「長谷部」
「はっ！」
「警備の人が巡回する場所を教えるから、後のことよろしくね。
…私、政府の人たちに呼ばれてたのすっかり忘れてたわ。」
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作者名：沙恵燬 | 作成日時：2019年2月1日 1時
