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隣に誰が来ようが大抵の人は無視できるとよく言われるが
私の場合、気が散って全く集中が出来ない。
「…。」
「…。」
この謎の空気、何とかならないだろうか？
嫌なこの雰囲気のせいで全身から変な汗がふきだしていた。
そのぐらい私はこの空気が嫌いだ。
なんせこの謎の男は初めて私と目が合った時…、
話しかけず
何もせず
私の隣で私と同じように戦いを見物し
最後の終わりまで見た後、私が帰ろうと踵かえすとと彼もまた同じように何処かに去っていき、次の日も…その次の日も彼は同じような行動をとった。
……彼も暇人なのだろうか？
いや、それはないだろう。
この御時世暇な人ほどろくな人間じゃない。現にろくな人間じゃない私がこの有様なのだから。
気になって聞きたい欲はあるが
下手に話しかけると面倒なことになるのは１８年分の経験が物語っているので、無闇に話しかけることはしないかった。
かと言って先にこの場を見つけたのは私なのに、このお気に入り場から離れるのは私が彼から逃げたように思えるのでそれはそれで私のプライドが許せない。
＿何故ここに来るのか。
そんな簡単な一言を聞きたくても私は臆病だから聞くことが出来なかった。
数時間後、私は渇いた喉を潤したくなり飲み物を買いに行こうと足を動かす
ふいに呼び止められてしまった。
「審神者ではないのか？」
「…ェ？」
振り返ると彼は真っ直ぐに私を見ていた。
…とうとう話しかけられる日が来てしまった。
隣にいるだけの知らない人ということで終わらせたかったのに、どうしてこうも崩れさるのだろうか。
いや、約二週間も黙っただけでも凄い方ではないだろうか？
自分を褒めたたえよう！それがいい。
「…もう一度聞こう。お前は審神者ではないのか？」
痺れを切らしたのか、彼は鋭い声で私に尋ねてきた。
その声にはっと我に帰り私は返答する。
「いいえ、ここの職員ですよ」
審神者、か。
その素質とやらは、周りに分かるのだろうか。自分にはさっぱりわからない。
政府からも前に言われたことがあったな、とほんの少し前の出来事を他人事のように思った。
「ふうん」
私の答えに対する彼のあからさまな上から目線な態度は少々癪に障るが、私は気にせず尋ねた。
「貴方は？」
彼は口を噤む。
「どうしてここに来るの？」
私が質問を変えて聞くとしばしの間を持って答えてくれた。
「ある事情で暇になったからと言えば納得してくれるかな？」
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作者名：沙恵燬 | 作成日時：2019年2月1日 1時
