拾壱 ページ11
私の告白に対して彼は驚きも笑いも呆れもなく、
その場に冷たい空気が流れた。
「なんか反応して！」
「とんでもないことをしたな。」
「それで…その可愛い一人娘があの審神者さんよ。」
「…ほう。」
「それであの本丸の主を殴るという大それたことをやらかした私をそこの刀達が匿ってくれたの。
私が悪いだけなのに事が済めば彼等が酷い仕打ちをされるかもしれない。
政府と彼らを守るよう取り引きをしたんだけど、あの現状を見ればやっぱりああなってた。
だから、私が殴ってしまった謝罪と本丸に泊めてくれたお礼は後でしっかりと落とし前をつけるって約束したの。」
すると、ぽつりと彼がだからあの時…と言っている。
…彼等との話を聞いていたんだろうか。
彼いわく気になって付いてきたのだから、まあ聞こえててもおかしくない話だろう。
「ここで話が戻るけど、彼等と交わした約束は何処かで審神者になったら果たせないでしょう？
だから審神者になることを拒んだの。
そうしたらね。
最終的にこんな所で働く羽目になって…。
あの女に会っても私だとわからないように顔を隠してるの。」
「詮索はしない人らしいって政府の人が言ってたのもあったけど…本当だったのね。
お陰で彼女との感動の再会も横切るだけで済んだわ。」
「……お前は、本当に面倒な奴だな。」
「面倒とは何よ。」
軽くフードの男を睨みつけ、
かと言って、自分でも思い当たる節があるなで深くため息を吐く。
私だって、好きでこんなことをやっているわけじゃない。
外した紙をいつものように後ろで結び顔の前に垂らした。
「………でも関わってやらないことはない、かな。」
ぽつりと独り言を呟いたので、フードの男に聞いた。
「関わるってなんの話？」
「見ているこちら側としては実に危なっかしいのでね。改めて私情を知ったのもあるが面倒を見てあげても構わないかなと。」
「…おい。」
私の反応が面白いのか、含み笑いして「ますます興味が湧いた。」と彼は嘘めいた台詞を吐いた。
どういうわけか、その男の声のトーンは少しばかり明るい。
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作者名：沙恵燬 | 作成日時：2019年2月1日 1時
