やっぱりただの迷子に審神者は務まらない！【刀剣乱舞】 (ページ14)

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中～夢主ちゃん、海に行く～16 ページ14

「一体どこに逃げたんだか…。大将、こういうの得意だからなあ…
…旦那、どうする？」

「…引き続き探すに決まってるだろう」

非常に良くない事態になっていた。
人混みに紛れて忽然と消えたあの女はいくら探しても見つけられない。

その人混みの中には刀剣男士はいるが、そもそも審神者自体の割合が少ないのもあり…実質職員が殆どを占める。

…あの女に執着している練度の高いこの薬研藤四郎の手にかかってもこの数ではやはり見つけるのは困難らしい。

彼のことだから嘘をついている可能性もあることを考慮していたが、…この薬研藤四郎は少なくとも見つけ次第彼女の元へ行くはずだ。わざわざ付近を探す俺の所へ戻ってくるはずがない。

「何か手がかりとかないのか？」

「あるならすぐさまそこへ向かっている」

「…普段は威張っているくせにこういう肝心な時に限って使えないなんてことないようにしないとな。
為になるよ、旦那」

さらっと笑顔で俺の悪口を叩いた。
余程俺が嫌いらしい、

「五月蝿い」

俺は俺でそんな言葉ですらも心を掻き乱されていた。

あの女…一体どこに行った？

兎にも角にも探さなければならない。

彼女に何かあった後じゃあ遅いんだ。
この薬研藤四郎に先に見つかってしまえば色々とてんやわんやで不味いが、それよりも少し前＿あの女が着替え中の際に会話をした…あの女に身勝手な逆恨みしているこの薬研藤四郎の持ち主である審神者の方が危険だ。

あの茶髪の審神者は恐らくあの女の苦手中の苦手な輩であり、やり返すという手段を選べるあの女からはとくに引き離したい。
政府から要注意人物として目をつけられている彼女にとってかなりまずい相手だ。

あの審神者もまたかつてあの女が殴った女より権力は劣るものの、政府の要を握る人間のうちの愛娘で審神者という…まあ、なぜそこまで才のない小娘を取り立てるのかは知らないがともかくだ。
また同じようなことがあればあの女の身が危うい、非常に。

最初阿呆な面で俺に媚びてきた時には度肝を抜いたが、それと同時に彼女が哀れな審神者だとも理解した。

例の審神者を卑下するようになった最悪な本丸に対して「自分なら＿」だとかそんな馬鹿なことを考えたんだろう。実際、立て直しできた人物が1名いたのだから…、

そうやって生半可で甘い考えが結果的に自分の首を絞めたというのは彼女の供述からみてまず間違いない。

つまるところ、見誤ってはいけないところをあの審神者は見逃していた。