玖拾伍 ページ5
*
「……それで、何故こんなことを?」
白く長い髪を靡かせる大柄の男は、小狐丸と名乗った。
「いえ、特に理由はございませんよ。
まぁ、ぬしさまとお話してみたかったのが大きな動機といえばそうですが……
少し、嫌な予感がしたので。
独断で行ったことは申し訳ないですが……私が着いて行って、良かったでしょう?
失礼ですが、奴にこれが務まるとは……」
ねぇ?そうあざとく首を傾げて笑う小狐丸。
それにしても、こんのすけといいこいつといい……
「……狐って、猫の仲間でしたっけ」
「?……あぁ、なるほど。
残念ながら猫よりは犬寄りですね。
……それにしてもぬしさま、その発言は諸刃の剣ではありませぬか?
それは、人間の被る皮ではないのでは?」
ニヤリ、と目が細められる。伝わってたか。
私は遠回しに『猫被り』という意味合いで言ったんだが……完全に言い負かされてしまった。
「私は……親の教育の賜物です」
「どうやらそのようですね。
……しかし本丸にいる間は、『それ』は必要ないのでは?」
うーん……最早習慣というか、癖に近いからなぁ。
ふとした時に出ないようにと考えると。
それにしても
「あなたが言いますか、それ」
じと、と見つめると滅相もない!と顔の前で手を振った。
「私は彼らとは違うので、別にあなたの顔色を伺ったりなどしませんよ。やろうと思えばこんな小娘どうとでもできるんですから。
あなたや、他のように刷り込まれる程、私は色んなものに晒されてこなかったので。
証拠に、そこそこ不遜な態度を取っている筈ですが?
……まぁ、少しは骨のある小娘のようなので、使われてやるのも悪くないと思っただけですよ」
ふん、と鼻で笑って『わざわざ働いてやったんですから後で労っていただきますよ』と吐き捨てるので、何をして欲しいのか聞くとまず夕餉は稲荷、そして昼餉の後で髪を梳け、と。
その位なら普通にいつでも聞くのに。
「さて、それで?
私は猫でも何でもないのですが?
……犬と猫は相性が悪いんですよ」
「……それ、本丸の他の人に言わない方がいいぞ」
まさか!と笑うそれに応じてしまうのか少なからず似た雰囲気を感じてしまったからだろうか……
「でも、母君殿って……見合いか?」
「でもああするのが1番だったでしょう。
これで変な事を言って連れ戻されて、刀解になるのは私達なんですから」
「そういえば、お前の嫌な予感って?」
「あぁ、政府からとあったので……まぁ言ってしまえばただの勘です。野生故」
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やよ - 更新待ってます！ (2022年1月8日 15時) (
レス) @page11 id: f3622d769a (このIDを非表示/違反報告)
東雲 - とても面白い作品で読み込んでしまいました！続きを楽しみにしてます！ (2021年6月13日 20時) (レス) id: 3d369926d3 (このIDを非表示/違反報告)
Hikaひかり(プロフ) - 途中で終わりとなっていてすごくショックです…続きが読みたい…！ (2020年12月19日 18時) (レス) id: 6f70194681 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 更新楽しみに待ってます。応援しています。頑張ってください！(^-^) (2020年9月25日 22時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
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