漆拾陸─堀川国広─ ページ31
*
「……あの、お二人共落ち着きましょう?」
「何がだ?俺達は至って落ち着いているが。」
「そうだ。
別に広間で何が起こっても、例え斬られても俺には関係ないし、光忠が処分されようと、俺の知ったことじゃない。」
「そんなウロウロ手入れ部屋を歩き回りながら言われても説得力ないですよ、鶴丸さん。
大倶利伽羅さんも、広間で起こってることと主さんの安全と、燭台切さんのことが気になるのは分かったので、そんな向こうを見ながらしらばっくれないでください。」
まぁ僕も僕とて、兼さん1人で大丈夫かな、なんて心配でいっぱいだ。確かに兼さんは強くて頼りになるが、少々強引に我が道を突き進む癖があるから、心配は尽きない。
その前に、忙しなく広間の様子を伺おうとする2人を宥めるのに手一杯なんだけど。
思わず1人、溜め息をつく。
2人がこんなにピリピリしつつも手入れ部屋にいてくれるのは僕のことを気遣ってくれているのだろう。
もー、主さんたち、早く帰ってきて……!
すると、僕の念が届いたかのように襖の開く音。
「よー国広、戻ったぜ。」
「ただいま戻りました。」
「兼さん!主さん!おかえりなさい。」
すると後ろをちら、と気にする2人。
「何か?」
「ほら、入れよ。」
「う、うーん。」
低い声と共にひょこっと手入れ部屋に入って来たのは。
「光坊!」
「、光忠!!」
「……やっぱ、かっこつかないなぁ。」
え、なんで。と思わず主さんを見つめる僕達3人。
その視線から居づらそうに目を背けた燭台切さんも、逃げるように主さんの方に目を向けた。
そしてそんな視線を1度に集め、訳が分からないといいたげに首を捻る主さん。
するとため息とともに凛とした声。
「燭台切のお咎めはなしってこった。
なんてったって、たった今三日月の野郎をぶん殴ってきたばかりだからな。」
そしてわしゃわしゃと慣れた手つきで主さんの頭を掻き混ぜる兼さん。
いや、それはまぁ、いいんだ。
「殴った!?三日月さんを!?」
「〜っ、こりゃあ驚きだ!!」
「……フン、よくやった。」
一気に騒然とする手入れ部屋。
いや、でも本当に。
「──これから僕達、大丈夫かなぁ。」
ふと覚えた一抹の不安。しかしこの面子がそんなことを思っている訳がない。
「なーに弱気になってやがる国広!」
「まぁ仮にそんなことが起きたら、最高の驚きを提供してやろうじゃないか!」
とても心強い、が。
「鶴さんもう本丸に穴はやめてね?」
「……なんでだ光坊!」
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朔夜(プロフ) - 無花果(Na-na )さん» こんばんは、コメントありがとうございます!率直な愛の言葉、とても心に響きました。本当に嬉しいです、ありがとうございます!今後ともお楽しみにしていただきたいのですが超ユル更新なので、寒くなる前に服は着て足も崩して下さいね笑 (2019年7月3日 0時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
無花果(Na-na )(プロフ) - 好きです。(突然の告白)とっても面白いです、全裸で正座して更新待ってます(真顔) (2019年7月2日 20時) (レス) id: 0e478908d2 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - チランコス☆さん» こんにちは、コメントありがとうございます!まだ断言はできませんが、三日月さんはもしかしたら長くいたせいで人のいい部分も知ってしまったので迷っているのかもしれませんね。長谷部さんは過去に色々やらかしてるのでその辺もお楽しみに今後もよろしくお願いします! (2019年6月30日 11時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
チランコス☆ - 続きが物凄く楽しみです!!!!!!!!!!!前作から見ていましたが、やはり見入ってしまいます…!!やはり審神者vs三日月(三条派)なのでしょうか!?長谷部が三日月派か審神者派かも気になります♪ (2019年6月30日 7時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - あふるさん» 前作からのご愛読、本当にありがとうございます!私の私生活や審神者ライフが安定しないせいでこの小説も亀更新を極めているにも関わらず、長らくの応援ありがとうございます!始点と終点以外ノープランな小説なので今後も展開を楽しみにしていてください! (2019年6月15日 16時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
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