陸拾伍─和泉守兼定─ ページ20
*
「──て、
兼さん、起きて。」
ゆさゆさ、とゆすられる感覚に目が覚める。
「ん……之定?」
「違うよ、歌仙さんじゃなくて僕だよ。
堀川国広。」
呆れた声にそちらを見ると、そこに居たのは確かに之定よりも小さい影だった。
国広の姿を確認すると同時に、いつもは感じない違和感を感じる。
「なんか今日……暗くねぇか。」
「そりゃあそうだよ。
だってまだ寅三つ前くらいだもん。
(注:寅三つ=大体朝5時から5時半くらい)」
「はぁ!?そりゃ暗ぇわ……
なんだってそんな時間に。」
いつも俺が起こされるのは、朝餉直前。
時間にすると、卯三つの前後辺りか?
(注:卯三つ=大体午前7時から7時半くらい)
まぁつまりは、クソ早いってことだ。
思わず国広の方を凝視してしまうが、逆に何言ってんだとばかりにため息をつかれる。
なんだ?訳がわかんねぇ。
「訳がわかんないって顔してる兼さんに質問です。今日の、審神者さんの近侍は誰でしょう。」
「……俺、だな。」
「その理由は?」
「剣の……稽古……
……って、あ。」
「思い出した?」
思い出した、あぁ、思い出したとも。
つまりこいつが言いたいのは、朝の稽古の時間だってことだ。だから早く起きて準備しないといけない、と。
「……だが、朝やるなんて言ってたか?」
「言ってなかったよ、だから問題なんだ。
もし審神者さんが朝だと思っていた場合、僕達が行っていないと……」
ここでやっと事の重大さを理解する。
最悪の場合、俺だけでなく国広、いや、もしかしたら之定や長曽祢さんの方へ被害が及ぶ可能性も大いにあるってことだ。
「確かに土方さんも朝やってたもんなぁ……」
「そう、今ならまだ、間に合うかもしれないから。急ごう。見たところ話も通じそうだし、最悪行けば、僕達くらいで済むかも。」
国広に簡単に左肩の包帯を替えてもらい髪を結ってもらう。その間に俺は右足の包帯を巻き替えて、ふと気付いた。
「でも昨日の、夜。
審神者、燭台切の神気食わされてただろ。
あんな状態で今日動けるのか?
少し離れた俺らでさえ分かるくらい摂らされてたろ。」
「確かに。相当フラフラだったよね。
多分僕、鶴丸さんと青江さんがいなかったら隠されてたと思うな。」
その考えに関しては俺も同感だ。
なんならあの後隠された可能性だって無きにしも非ずだ、と俺は思っている。
「まぁいい、とりあえず行こうぜ。
いなかったらそれで、寝直すか。」
「もうっ、兼さんったら。
たまには早起きしてよね!」
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朔夜(プロフ) - 無花果(Na-na )さん» こんばんは、コメントありがとうございます!率直な愛の言葉、とても心に響きました。本当に嬉しいです、ありがとうございます!今後ともお楽しみにしていただきたいのですが超ユル更新なので、寒くなる前に服は着て足も崩して下さいね笑 (2019年7月3日 0時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
無花果(Na-na )(プロフ) - 好きです。(突然の告白)とっても面白いです、全裸で正座して更新待ってます(真顔) (2019年7月2日 20時) (レス) id: 0e478908d2 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - チランコス☆さん» こんにちは、コメントありがとうございます!まだ断言はできませんが、三日月さんはもしかしたら長くいたせいで人のいい部分も知ってしまったので迷っているのかもしれませんね。長谷部さんは過去に色々やらかしてるのでその辺もお楽しみに今後もよろしくお願いします! (2019年6月30日 11時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
チランコス☆ - 続きが物凄く楽しみです!!!!!!!!!!!前作から見ていましたが、やはり見入ってしまいます…!!やはり審神者vs三日月(三条派)なのでしょうか!?長谷部が三日月派か審神者派かも気になります♪ (2019年6月30日 7時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - あふるさん» 前作からのご愛読、本当にありがとうございます!私の私生活や審神者ライフが安定しないせいでこの小説も亀更新を極めているにも関わらず、長らくの応援ありがとうございます!始点と終点以外ノープランな小説なので今後も展開を楽しみにしていてください! (2019年6月15日 16時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
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