参拾陸 ページ37
・
「あぐあぐ、ごくん……A様、あのままでよろしかったのですか？」
ずるずるずる、とうどんを啜り、飲み込んでから聞き返す。
「何のことです？
今日の昼ご飯が昨日の晩ご飯と全く同じ、きつねうどんだということでしょうか？
……まぁ、私はただの素うどんなんですが。
朝ごはんに油揚げを食べていないのでしょう？
あなただけご飯抜きという訳にはいかないですし、やや味気ないですが……仕方の無いことです」
ずる、とまた素うどんをすする。
でもなんやかんやでここの店のうどんは美味しいようで。2度目の素うどんでも飽きを感じることはなかった。
「違いますよ、確かにご飯の件は申し訳ないですが。
先程の大倶利伽羅のことです」
「大倶利伽羅さん？それが何か。
……まぁ確かに彼の目を見たかった思いはありますけど。部屋の外に誰かいましたし、早めに立ち去るのが得策だったと思います」
特に言及はしなかったがあの時、部屋の外には誰かがいた。
こちらに関わる気配はなかったから放っていたが、警戒はされていただろう。
そんな所に長居をしたって良いことは無い。
あらぬ疑いをかけられる前に、立ち去るのが正解だった。
「ですが……今回の1件は、刀剣男士に対するイメージ回復にある意味、良いチャンスだったのでは？」
「……まぁ、そういう考えもあったのかもしれませんね」
「……気付いてらっしゃらなかったのですね」
何か、この置かれた環境に早くも順応してきたのか、正直慣れてきてしまったのが大きい。別に死んでないし、このままでも良いんじゃないかと。
いやぁ、慣れって怖い。
でも、触らぬ神に祟なしとも言うし。
「……まぁ、彼らは彼ら。私は私です。
そう無理して仲良くしていただかなくてもいいんですよね。そこで生きていけるのならば。
……他の本丸は違うのですか？」
私はここの本丸しか知らないし、基準も無い。
てっきりどこもそんなものかと思っていた。そもそも『他』なんてあるのかも分からないが。
「違うも何も、現在上辺で貴方に接している彼らの態度が、彼らの普通の、本来の態度ですよ」
……成程、そこまでだとは思っていなかった。
つまり彼らは上面だけ、私に見えるところだけは『普通の本丸』として運営しているということだ。
その裏の底知れぬ闇を感じ取ってしまい、思わず背筋が寒くなった。
────────────────────
110,000hit over Thank You!!
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1054人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朔夜(プロフ) - あみあみさん» 今週もコメントありがとうごさいます！来週テストですか・・・頑張って下さい！私もそろそろ学校が始まるので更新ペースが・・・頑張りますね・・・これからもよろしくお願いします！ (2017年9月16日 13時) (
レス) id: 69535f952d (このIDを非表示/違反報告)
あみあみ(プロフ) - ついに続編かーーー 来週楽しみダーーー あっ、来週私学校のテストダ・・・ よし、この小説を読むためにテストがんばりまーーーーす (2017年9月16日 12時) (レス) id: 3f689df719 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - あみあみさん» コメントありがとうございます！どうも今回、更新日時表示が途中までオフだったみたいで・・・私自身「何故！？」と思いながら何度も更新したので見にくかったと思います・・・すみません！ (2017年9月10日 9時) (レス) id: 69535f952d (このIDを非表示/違反報告)
あみあみ(プロフ) - 更新されてからすぐに読みました 朔夜さんサイコーーーーーーー (2017年9月10日 2時) (レス) id: 3f689df719 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - ゆらさん» わざわざコメントありがとうございます！主人公は私も「こんな友達ほしいなぁ」と思いながら作ってるのでそう言っていただけて本当に嬉しいです！これからは忙しくなるので更新ペースは落ちそうですがどうかよろしくお願いします。 (2017年9月2日 23時) (レス) id: 69535f952d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
