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「そんなに変わったことはありませ…な、なかったよ。もうすぐテストがあるから、それに向けて復習をいっぱいやったくらいかな」
「テスト！テストって何するの、面白そう！」
「いやぁ、全然面白くないや。1日中座ってて疲れるし、問題も難しいし」
「ずっと座っているのに疲れるの？変なの」
「頭を使ってるだけで疲れるもんだよ、集中するのは楽じゃないんだ」
「ふ〜ん？私は本を読んでいても疲れないよ。これって集中してるってこと？」
「う、うーん……疲れないと集中するっていうのは別じゃあないかな。……うーん」
Aが自分と同じように学校に行かされていないのをディアンは知っている。
それどころかろくに外に出たこともないのも、家族以外の人と喋ったことがないのも、世界が今どうなっているのかも分からないでいるのも、ディアンは知っていた。
どうしてここまで扱いが違うのか不思議に思うが、母親に尋ねてもうやむやにされ、ましてや名前を呼んでくれもしない父親に尋ねる勇気もない。
ただその父親が全てを決めているのは見て分かる。
「ねえ、ディアンはどうしてお父様を名前で呼んでいるの？」
そこもまた謎であった。
学校の同級生らは父親をお父さん、父さん、はたまたパパやダディなどと呼んでいる。
だがディアンは違う。
名前で、ご丁寧に様まで付けて呼んでいるのだ。
昔からこうしてきていたので何ら不思議には思っていなかったのだが、どうやらそれはおかしいらしい。
母親のことはお母様とA同様呼んでいるのだが。
「私が読んだことのある本はね、主人公の男の子はだいたい父親のことを『お父さん』って言ってるの。ディアンも言ってみたら？」
実は過去に呼んだことがある。
そうしてみたら、どうだ、ルイスはまるで聞こえていないように無視して通り過ぎていった。
こういった面でもディアンは、自分が息子として思われていないのだと傷つけられる。
Aは娘として愛されているというのに。
実の姉に対して禍々しい嫉妬を抱いているのを、薄々感づいてはいた。
「…ディアン？」
「……あ、ごめん。ああいや、僕はこのままでいいんだ。慣れてるから」
そう言ってはぐらかす。
Aは特に気にした様子もなく「そう？」と受け入れたが、ディアンの心は複雑なままだった。
「…話を変えようか、僕からの質問ね。姉さんは今、何の本を読んでるの？」
そう尋ねると、Aは少し興奮気味に話し始めた。
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白梅 和平(プロフ) - ccさん» コメントありがとうございます！第3章は特に内容が複雑なため書くのに苦労しているのですが、ちゃんと伝わっていると分かり安心しました。久々のコメントで嬉しかったです。更新頑張ります！ (2018年4月8日 14時) (
レス) id: 4fe8a6b6f6 (このIDを非表示/違反報告)
cc(プロフ) - 情景描写が繊細で、独特な世界観にすぐ引き込まれてしまいました。もっと評価されるべき作品だと思います。続き、楽しみにしています！ (2018年4月7日 10時) (レス) id: 3524d9e2e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白梅 和平 | 作成日時：2017年7月4日 21時
