【コナン】⑤寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ9)

今日:71 hit、昨日:41 hit、合計:210,651 hit

209. ページ9

『いつからペットになったの？』

───五年ほど前から。

『そうなる前は？』

───大学生でした。

『歳は？』

───28です。

『その首輪はいつから？』

───五年前から、ずっと。

『……外して、あげようか』

───駄目っ！！………です。

『…あなたにとって、ジンはどんな人？』

───優しい人、です。

『それは、あなたの本心？』

───……………。

『大事にされてると思う？』

───はい。

『それは、人として？
それとも、ペットとして？』

───…わかりません。

次から次へと浴びせられる質問。

たとえ嘘であっても、ジンのことを酷く扱き下ろすのは嫌で『可哀想な籠の鳥』の役は中途半端なものになってしまった。

だが、それが余計に彼女にはリアルなものとして感じられたらしい。

気まぐれに愛され、気まぐれに放置されている可哀想なペット。

マリーは俺を、そう定義したようだった。

『あなたは、もしジンがあなたを連れ返しに来たらどうする？帰りたい？』

───………わかり、ません。

『じゃあ今は、早くジンの元へ帰りたい？』

───…………。

帰りたい。
帰りたいに決まっている。

だけどまだ、それを口にすることは許されない。

………ジン。

早く、俺を迎えに来てくれ。

まさか、仮にも裏社会に手を出しているようなターゲットが、ここまで心優しい人物とは思っていなかったんだ。

任務と良心との板挟みで、俺が潰されてしまう前に───早く、迎えに来てくれ…。

俺はそっと首輪に触れ、タグに掘られた《JIN》の文字を眺めた。

そんな俺を、切なそうに見つめている彼女。

「私……、逸りすぎちゃったのかしら。
もしかしたら、あなたをジンから引き離すべきじゃなかったのかもしれない」

彼女がぽつりと呟いたその言葉は、俺の胸に重く響いた。

ふと、あることを思いついた。

俺はタグから手を離すと、何気ない仕草を装って今度は首輪のベルト部分に触れる。

確か、ちょうどこの真裏に盗聴器があるはずだ。

簡単な思いつきではあるが、試してみる価値はある。

上手く、伝わるだろうか。

…ジンならきっと、気付いてくれるはずだ。