【コナン】⑤寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ50)

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そう言えば、結局Aはヒロや僕のことを覚えているのだろうか。

覚えていない可能性の方が大きい気もするが、心のどこかで『もしかして』と期待する自分がいるのだ。

そんな自分が、ふとした拍子に昔のヒロのお兄さんと今のAとの共通点を見出しては更なる期待を膨らませていく。

もしAに記憶があるのなら、そしてもしジンが本当に心からAを信頼しているのなら──それは僕やヒロにとって、ひいては正義にとって、とてつもなく偉大な利益となり得る。

僕個人としても、公安の降谷零としても、ヒロの幼なじみのゼロとしても、ただAに昔の記憶があることを願うばかりだった。

やがて無事帰宅した僕は一人、リビングの椅子に腰かけてヒロに電話をかけていた。

「…もしもし、僕だ」

『ゼロ、久しぶり。最近はお互い忙しくてあまり会えてないけど、そっちは順調か？』

「ああ、今のところ特に大きな問題もない」

『なら良かった、こっちも上手くやってるよ』

久しぶりに聞く、幼なじみの声。

血なまぐさい組織に身を置く中で、こうしてヒロと語り合える時間は貴重だった。

ヒロとこうして話す時だけは、僕は公安の零でもバーボンでもない、ただのゼロに戻れるのだ。

もちろん、話す内容は公安の任務や組織の情報絡みのことばかりだから、完全にすべてから解放されるわけじゃない。

それでもこうしてバーボンでも安室透でもない自分をさらけ出せる時間が、僕が僕であり続けるためには大切なのだ。