【コナン】⑤寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ49)

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今日はもう、バーボンとしての任務は終わった。公安への、比較的急ぎの案件の報告も済んだ。

こんな早い時間に家に帰れるのは、久しぶりかもしれない。

早いと言っても既に夜の七時は回ってしまったが、ここ最近は忙しすぎて拠点の自室に泊まり込む毎日を送っていたことを考えれば、十分早いと言えるはずだ。

拠点で偶然耳にした情報によれば、今日はスコッチ──ヒロも、早めに仕事が終わったはず。

家に着いたら、久しぶりにヒロに電話でもしてみよう。

お互いの情報の共有もしたいし、実は少し気になる噂を耳にしたから、それも話しておかなくては。

それに……、Aのことも話しておきたい。

結局Aとジンとの関係は、何だったのだろう。

Aの居場所探しをしている時のジンは、間違いなく焦っていた。

あの焦り方は、おそらくだが、任務の失敗を心配してのものではない。

ジンが急いでいたのは、きっとAのためだったのだと、はっきりとした理由こそ分からないが、今ではそう思う。

ジンとAの関係性は、きっと変化しているのだ。

少なくとも以前のように、ただのビジネスライクな飼い主とペットの関係性ではなくなっているように感じられた。

ホテルで見せつけられたアレだって、明らかに必要に迫られて致し方なくといった様子ではなかった。

寧ろ、ジンの方は楽しんでいたようにさえ思える。

実際、あのあと車内で話をしている時も、ジンは終始機嫌が良かった。

それから、ジンが電話をしている隙にターゲットだった女性が口にした『ジンはきっと、Aのために動いているだけ』という言葉も気になる。

確かにあの場でのジンの行動は全て、その一言で説明ができるように思えるのだ。

だけど果たして、ジンは人のために行動するような人間だっただろうか。

確かにAの前ではこれまでも比較的穏やかな──言い換えれば、ジンらしくない一面も見せていた。

だがそれはあくまで、ビジネス的主従を見せつけるための行為だと、これまでの僕はそう考えていたのだ。

今回の一件で、僕はその認識を改めるべきかどうか、迷っていた。

ジンがAのためを思って行動した、その可能性はまだ否定できない。

しかし同時に、全てがジンの策略である可能性も否定はできないのだ。

やはり、安易に決めつけてしまうべきではないだろう。