【コナン】⑤寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ40)

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240. [番外編] ページ40

やがて母は、いつも楽しそうにこなしていた料理や洗濯といった家事すら、放棄するようになった。

そうして空いた時間を使って毎日毎日、飽きもせず朝から晩まで買い物に繰り出していたのだ。

家事に追われることなく自由に、自分のためだけに時間を使うようになった母。

だけどそんな母は、ちっとも幸せそうではなかった。

母と寝室を同じくしていた私は、母が毎晩うなされていたことを知っている。

『早くお金を使い切らなくちゃ』
『早くお金を無くさなくちゃ』

夢にうなされる母が時折零したその言葉は、とても悲痛な響きを伴っていた。

ただお金を無くしてしまいたいだけなら、全額どこかに寄付してしまうのが簡単だ。

だけど心優しい母は、寄付という形で誰かやどこかにお金を押し付けてしまうというのがどうしてもできなかったのだろう。

誰かに与えるということは、誰かに与えないということ。

与えられない可哀想な誰かのことを考えてしまう母は、結局自分で使い切ることを選んだのだ。

だが、母には長年の癖として倹約が染み付いてしまっていた。

無駄な買い物をするといっても、それは私の母基準での贅沢だから、一日に百万以上を使うことすらほとんどない。

使っても使っても残高の減らない通帳を見てため息をつく母は、見ていてとても哀れだった。