【コナン】⑤寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ34)

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234. [番外編] ページ34

「私の命に百億もの価値が付くと思えば十分…寧ろ、高すぎるくらいだわ。
だけど、本当につけるべき値段はAの命、Aの価値でしょう。彼をあなたから奪って、その命を危険に晒した罪は、百億よりもよっぽど重い。そうではなくて？」

「てめぇ、何が言いたい」

私はひとつ息を吸って、自分の意思を再度確認した。

昔みたいな "普通以下" の生活に戻る覚悟はできている。そのためにもうずっと、色々と努力してきたのだ。

無駄に才能のある両親のせいで、全部全部失敗続きだったけれど。この人なら、この組織なら、流石に私の両親では太刀打ちできない。

命の危険は味わったけれど、ジンとこうして話す場を得られたのは、私にとってなによりの幸運だった。

「率直に言うわ、ジン。
あなた、私たち家族から五百億奪ってくれないかしら」

えっ…、と驚いたような声を上げたのは、私の隣に座っていたバーボン。

ジンは何も言わず、ただ、鏡越しに私の目を見ていた。

嘘があったら見つけてやる、とでも言いたげな、鋭い目。

私はそれを、恐れることなく見つめ返した。

「詳しくご説明するわ。少しお耳をお借りしてもいいかしら」

話せ、と言って私から目を逸らしたジンは、どうやらタバコを吸い始めたらしい。

車内に揺れる紫煙を見るともなく見つめながら、私は自分語りを始めた。