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「ちょっ、ジンっ！？」
するりと後頭部に回された手、近づけられた顔。逃げることもできない俺と、再び唇を重ねたジン。
今度はさっきみたいに軽いやつじゃない。
ディープで、深いキス。
「…っ、ん……」
思わず腰が砕けそうになるのを必死に堪え、彼の舌の動きに翻弄されながらも何とか舌を伸ばして応えた。
歯列をなぞられ、舌の裏を舐められ、飲み込みきれなかった唾液が口の端からこぼれ落ちたのがわかる。
同じ男としては悔しくなってしまうくらい、彼は、キスが上手かった。
「……んっ……、ぁふ…。……」
どのくらいの時間、そうしていたのだろうか。
ようやくジンの顔が離された時にはもう俺は限界で、今にも崩れ落ちそうになる腰をジンの左腕で支えられているような状態だった。
顔を離したあとも、俺はしばらく息が上がっていたのに対して、ジンはケロリとした顔をしていた。
そっと俺の身体を抱えあげるようにしてベッドに腰掛けさせた彼は、来ていた上着を一枚脱ぐと、それをバサリと俺に被せた。
「てめぇの覚悟はわかった。気に入らねぇが、あの女の命は許してやる。
流石にただでは帰せねぇが、煩く反抗しないなら金だけで示談にしてやるよ。それならいいか」
ジンの言葉に俺は、バーボンに銃を突きつけられたままで顔を真っ赤にしているマリーの方を見た。
男同士で、変なとこ見せちゃったからな…。
目を逸らしたくても、押さえつけられているせいでどうしようもなかったんだろう。
申し訳ないことをした。
心の中でごめんねと謝りながら、『お金払うことになっちゃっうけどいい？』という意を込めて小さく首を傾げた俺に、彼女はこくりと頷いてくれた。
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2021年2月19日 9時
