【コナン】⑤寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ12)

今日:2 hit、昨日:41 hit、合計:210,582 hit

212. ページ12

電話の向こうからも、こちらと同じように派手なエンジン音が聞こえてきた。

どうやら彼も、なかなかのスピードで車を運転しているらしい。

いつも落ち着いているジンが、こんなに急ぎ、焦っているとは珍しいこともあるものだ。

「それで、何があったんですか？」

『あいつ──Aの行方が追えなくなった』

「えっ…」

まさか、逃げたのか？
あのAが？

だが僕のその考えは、すぐに打ち消された。

『てめぇに下調べをやらせた、例の仕事だ。シナリオ通りあいつは見事に誘拐されたんだが、途中で発信機が外された。盗聴器は無事だから、そっちからは今も情報は流れてきてる。
奴は恐らく、さっき俺が言った駅の周辺にあるホテルに身を潜めるつもりだ』

要するに、それに先回りして阻止したいということか…そう尋ねた僕の言葉は、しかしすぐに否定されてしまった。

『いや、それはもう間に合わない。…たった今、ターゲットとあいつがホテルに入ったところだ。あいつが連れ込まれたホテル名と部屋番号、割り出せるか』

「どのくらい時間がかかるか分かりませんが、できる限りやってみましょう。盗聴器からの情報というのは、録音されていますか？」

『ああ、俺のパソコンにデータがある』

「でしたら、当てずっぽうに片っ端から顧客名簿を漁るよりは、背景の音声からホテルの場所を特定した方が早い。
僕がそっちに着いたら、すぐに録音された音声を聞けるような状態にしておいていただけますか」

『わかった』

電話の向こうからは、車をどこかに停めたらしい音と、ガチャガチャとなにかを操作する音が聞こえてきた。

早くも、彼は目的地へ到着したらしい。

僕の方も、あと二、三分で着けるはずだ。