【コナン】⑤寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ1)

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ジンの兄貴が初めてAを組織に連れてきたのは、もう五年以上も前のことになる。

裏稼業どころか社会のことにすらまだ疎いド素人のAに、首輪と名前と立場とを与えてやったのは兄貴だ。

パソコンを弄る以外の特技を何も持っていなかったAに、必要なツテを作らせ、様々な技術を身につけさせたのも兄貴だ。

正直、そこまで兄貴から目をかけられているAを羨ましく思ったことがない訳では無い。

だが、だからといって俺がAを疎ましいと感じることは無かった。

尊敬する兄貴がやっていることだから、俺なんかが邪魔だと思ったりなんかしちゃいけねぇ、と感じていたからというのもある。

だけど大きくは、A自身の性格や人柄によるものだった。

兄貴に気に入られていることを特別にひけらかすわけでもなく、兄貴以外の組織構成員を蔑ろにするわけでもない。

寧ろ常に謙譲の意を持って、俺たち構成員に接していた。

ご主人様である兄貴には馴れ馴れしい口の利き方をするが、俺たちにまでそれをすることは決してない。

兄貴に対する口の利き方も、Aの足場を堅固にしてやるための策の一種だったのだ、と兄貴本人が教えてくれた。

我儘も言わず、文句も言わず、常に他人と一線を引いているような様子のAだが、幹部からの受けはなかなかに良い。

もちろんその中には俺も入っている。

俺たちと同じ立場になったからといって特に態度を変えることもなかったAは、幹部となった今でもベルモットやキャンティを初めとした奴らに可愛がられ続けている。

Aは、賢い奴だ。
自分の立場と、兄貴の立場とをしっかりとわきまえている。

自分の振る舞いが、場合によっては兄貴への評価にも直結するのだと理解しているのだろう。

一部の噂好きな奴らは、馬鹿なことを騒ぎ立てているが、上の方での兄貴とAの評価は高い。

兄貴のおかげでAの立場は整ったのだろうが、兄貴もまた、Aのおかげで株が上がっているのだ。

尊敬する俺の兄貴の凄さが認められると、俺まで嬉しい。

それが派生して今や俺は、兄貴のペットとしてのAが認められることに対しても喜びを覚えるようになっていた。

結局のところ俺は、Aのことが気に入っているのだ。