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ホテルの部屋まで着替えを届けに来いというメールが突然届いた時は、兄貴とAが怪我でもしたのかと早とちりをして慌てたものだが、状況を見る限りそれは完全に杞憂だったらしい。
ぐちゃぐちゃになった服が床に投げ捨てられているところからしても、つまりはそういうことなのだろう。
「それで、俺はこの部屋の片付けでもすればいいんですかい」
「あ？…いや、そこまでやらせるつもりで呼んだわけじゃねぇが」
驚いたように瞬いた様子を見るに兄貴は、本気で俺に服を持って来させたかっただけ、らしい。
着るものがそれしかないとなれば多少の汚れは気にしないはずの兄貴がわざわざ服のためだけに俺を呼び出したということは、床に転がっている服と思しき物は、余程汚れてしまっているのだろう。
汚れた理由については、答えに辿り着く前に考えるのをやめた。脳内で言語化はしなかったというだけで、もう充分手遅れな気がしないでもなかったが。
ともあれ、情事の後始末のために呼ばれた訳では無いと分かったのは僥倖だった。
兄貴の指示があれば内容を問わず従うつもりではあるが、プライベートにまで必要以上に首を突っ込むことはしないでおきたいのだ。
公私を問わず兄貴と共に在るのはAの役割であって、俺が兄貴を支えるのはあくまで任務や仕事に派生する諸々の出来事と、運転の代行みたいな私生活の上っ面だけでいい。
警戒心の強い兄貴がこれまでずっと保ってきた一枚の壁を、今やほとんど薄っぺらく形骸化したものに過ぎないとはいえ、俺の方から壊すつもりはなかった。恐らく、兄貴も同じことを思っているに違いない。
だが、それはそれとして、今回くらいは多少手を突っ込んでもいいだろう。どうせ既に割と巻き込まれてしまっているのだから、今更少し手を出して世話を焼いたところで何が変わる訳でもない。
手始めに、と視線を落とした俺は、足元に落ちていたバスタオルを拾い上げながら口を開いた。
「どうせ用事もないんで、簡単に片付けちまいやす。俺に触られたくねぇ物はありますか」
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櫂渦【とーか】(プロフ) - シリーズを繋ぎ直しました！続きを読む、で次の話に飛んでいただけます！ (8月14日 23時) (
レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
櫂渦【とーか】(プロフ) - 点Ｐさん» ごめんなさい、コメントいただいて初めて次の話にシリーズが繋げられていなかったことに気づきました！まだ続きもupしてあるので、お楽しみいただけると幸いです！ (8月14日 23時) (レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
点Ｐ - 追いつきました…最高です！今まで見た中で一番好きです！最新頑張ってください！ (8月14日 21時) (レス) @page50 id: 7d48b43935 (このIDを非表示/違反報告)
櫂渦【とーか】(プロフ) - 乌罗伊利亚さん» ありがとうございます！これからもお楽しみいただけるよう頑張って参ります！！ (7月4日 21時) (レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
乌罗伊利亚 - とても面白かったです！今、一番好きな作品です 更新頑張ってください！！ (7月4日 12時) (レス) @page50 id: 21b25aa0ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2023年3月11日 21時
