【コナン】寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ40)

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だけど結果はいつも二番。

ゼロの次、ゼロの後ろ。

いつも一緒にいるはずのゼロにどうやっても勝てないのが悔しくて、俺は家でこっそり泣くことが増えた。

多分そんな俺に、父さんや母さん、兄さんも気づいていたのだと思う。

だけど父さんはあえて何もせず、そっと見守っていてくれた。

母さんは何も言わずに、時々ぎゅっと抱きしめてくれた。

兄さんは俺を、褒めてくれた。
俺が出した結果ではなく、俺自身の努力を。

それから。

父さんは時々、自分の失敗談を語ってくれた。

母さんは時々、自分にはできないことがあるのだと教えてくれた。

兄さんは時々、自分には敵わない人がいることを教えてくれた。

父さんは料理が下手でよく鍋を焦がす。
母さんは重いものが持ち上げられない。

だから父さんは母さんに敵わないし、母さんは父さんに敵わない。

そして驚いたことに兄さんは、俺に敵わないのだという。

『景光の可愛さには敵わない』
『景光の強さには敵わない』
『景光の優しさには敵わない』

他にも色んな"敵わない"を教えてくれた。

だからいつしか、俺もゼロに敵わない自分自身を受け入れられるようになっていた。

俺はゼロには敵わない。

だけどきっと、
ゼロにも俺に敵わないことがある。

それが何かは分からないけれど、今はただ、それでいい。

以来俺は徐々に、ゼロの後を追いかけるのをやめていった。

ゼロと俺との仲は、それから十年立った今でも良好だから、これで良かったのだと思っている。

「美味しかった、ご馳走様」

「おー、お粗末さま。俺はもう兄さんが帰ってくる前に風呂入ったし、今日は片付けも任せてくれ」

「さんきゅ、助かる。じゃあ風呂貰うな」

俺は俺だ。

父さんの子で、
母さんの子で、
兄さんの弟。

その事実において俺に敵う者は、この世界に一人もいない。

だから俺はもう、ゼロの隣にいても自信を持って前が向けるのだ。