【コナン】寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ37)

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37. 後悔のないように。ページ37

月のない、静かな夜。
上空では風が強いのだろうか、チカチカと星が瞬いているようだった。

家の近くまで無事あいつを送り届けた後、俺はセーフハウスには帰らず適当に車を流していた。考えていたのは、これからのこと。

あいつを組織に引き入れることは、もう決定事項だ。ソフトが完成し次第、俺経由でそれを上に渡す。そこで改めて、ラムやあの方に対してもあいつを俺のペットとして紹介する。

予定している通りのものができ上がっていれば、あのソフトは今の組織で十分役に立つはずだ。
それを作れるだけの技術を持つということで、あいつ自身も組織にとって有用な人間だと認識してもらえるに違いない。

上手く行けば間もなく、あいつ個人を指名しての任務が貰える可能性もあるだろう。

しかし、その任務が必ずしもあいつの能力を生かせるものとは限らないのが問題だ。

あの方は少し慎重すぎるきらいがあるから、忠誠心を試すためだなんだと称して適当な暴力任務を与えないとも言いきれない。

それに、俺たちネーム持ちも一枚板ではない。
当然、幹部同士での足の引っ張り合いもある。幹部になりそうだという噂のある者を事前に潰そうと考えるやつだっている。

実際、もう数年前のことになるが…優秀すぎて邪魔だと目をつけられた組織の構成員が、なんの予備知識もなく突然殺しの任務につかされたことがあったという。
そいつに自分の座を奪われることを恐れた当時の幹部の策謀によるものだ。

確かにそいつは頭の回りも速く格闘術もよくできるやつではあったらしいが、最終的には任務に失敗し、多勢に無勢の状況に追い込まれてあっさり惨殺されたと聞いている。

良くも悪くも目立つというのは、他者から恨みを買うことに他ならない。つまりは命の危険も増える、そういうことだ。

まぁ、その危険を少しでも潰すために俺があいつの世話をしてやる訳だが。